佐藤義則氏 被弾のオリックス・吉田凌 カットは投げるべき球種でなかった
「日本シリーズ・第3戦、ヤクルト5-4オリックス」(23日、東京ドーム)
決勝点はオリックス・吉田凌がサンタナに許した逆転2ランだった。カウント2-0から、スライダーかカットボールが真ん中やや外寄りに浮いて痛打された。
こうした小さい変化球を使うには条件がある。カットボールであれば、そもそもは右ピッチャーが左バッターの懐を攻めるために発達した球種だ。
それでも、例えばほとんど球威が落ちないのであれば、右打者でも芯を外すことができる。しかし真っすぐを待っている右のパワーヒッターに、スピードが落ちるカット、スライダーはタイミングは合いやすい。
これらの条件に全く合ってない中で、投げるべき球種ではなかったと思う。
私がこれまで見た中で、一番いいカット系を投げられていたのは元中日の川上憲伸。スピードも直球と変わらず、制球もいい。それでも、左打者用という意識があったから本当に効果があった。
もう一点。第1戦でサヨナラ負けを喫したマクガフが、きっちり最後を締めた。あの試合は、せっかく直球がいいのに追い込んでからの変化球が決まらずカウントを悪くした。この日は、最後、杉本に投じた内角直球に象徴されるように「いい球を投げきる」。これが特にリリーバーには必要だ。