ヤクルト守護神・マクガフ2点差守れず 高津監督「全力でいった結果」一切責めず
「日本シリーズ・第1戦、オリックス4-3ヤクルト」(20日、京セラドーム大阪)
歓喜の輪が広がるグラウンドを、ヤクルト・高津監督は表情一つ変えることなくジッと見つめた。押し殺した悔しさ。痛恨の逆転サヨナラ負けを喫したが、「すごく難しいイニングを任せているので。全力でいった結果だと思います」。守護神・マクガフを一切責めなかった。
悪夢は2点リードの九回だった。奥川、清水と粘投でつないだ守護神へのバトン。だが、勝利にたどり着けなかった。マクガフが先頭の紅林に右前打を許すと、代打・ジョーンズに四球。福田の送りバントを三塁へ送球するも、野選となって全ての塁が埋まった。
無死満塁という絶体絶命の大ピンチ。伊藤投手コーチもベンチを飛び出し、仲間も苦しむ右腕に声をかけたが、宗に同点の中前2点適時打を浴びた。ムードは一変し、高まる敵地のボルテージ。最後は吉田正の打球が、前進守備を敷いた中堅・塩見の頭上を越え、まさかのサヨナラ負けとなった。
絶対的エースが相手だった。“5冠”の先発・山本に序盤から粘って、食らいついた。5回までで95球を投げさせて、六回に中村の中前適時打で先制。6回112球で降板させた。終盤勝負へ持ち込むと、七回に同点に追いつかれたが、八回に村上の2ランで勝ち越し。敗戦の中に、少なからず収穫もあった。
「三振も多かったですし、なかなか直球が前に飛ばないことが多かったですけど、できないなりに対策を練ってやっていこうという姿勢は見えましたね」と指揮官は今後に手応えをつかんだ。
想定外の幕切れで初戦を落とした。だが、多くの苦難にチーム一丸で立ち向かってきたのが、今年のスワローズでもある。流れが大きく左右する短期決戦。「粘りをつなげていってほしいなと思います」。20年ぶりの日本一へ。戦いはまだ始まったばかりだ。