プロ野球 引退試合の“忖度”は時代錯誤?難しい境界線

場内一周でファンに別れを告げる西武・松坂大輔=19日、メットライフドーム(撮影・西岡正)
 日本ハム選手相手に即席サイン会の松坂(撮影・金田祐二)
 荒木コーチと記念撮影する松坂(撮影・金田祐二)
3枚

 プロ野球はシーズン大詰め。優勝争いが佳境を迎える一方で、各球団では功労者による引退試合も行われている。

 この引退試合での“忖度”を巡り、ネット上では賛否の声が挙がることが少なくない。相手に花を持たせようとわざと三振をしたり、打たせるために真ん中付近の直球のみを投げたりするのが引退試合の慣例。だが、相手が優勝争いやCSの順位争いをするケースでは、真剣勝負を選択する機会も増えている。

 今季では日本ハム・斎藤佑樹投手が17日のオリックス戦で打者ひとりに中継ぎ登板。中日・山井大介投手、藤井淳志外野手のラストはヤクルト戦で打者ひとり、もしくは一打席限定だった。

 試合前にはともに優勝争いをするチームが相手ということもあり、ネット上では「相手を選べなかったのか」などの声もあがった。だが、実際には“忖度”なしの真剣勝負。栗山監督も「オリックスには三振しなくていい、と。向こうも必死だから普通にやってくださいとお願いはしたので」と、内幕を明かしていた。

 昨年は阪神・藤川球児氏のラストで巨人に対して全球直球勝負。坂本、中島が連続三振、重信が二飛に終わった。ネットでは重信の結果に対し、「空気が読めない」「真剣にやるのが礼儀だ」などと賛否が分かれた。藤川氏は後にツイッターで「必要性は感じない議論ですね。僕は固定観念からは何も生まれないと思って人生送ってます」とつづっている。

 デイリースポーツ評論家の関本四十四氏は「昔は引退試合というのはその一日の収益をすべて本人に渡す、というものだった。今はラストをファンにどう見せるか、ということが目的だろう。当然、相手に迷惑をかけないよう球団間で話もするし、順位だけでなくタイトルや3割など個人成績にも気を使う」とした。“忖度”については「全ての事情を踏まえて考えるだろうし、選手個々のポリシーもある。松坂のケースで言えば近藤は迷っただろうし、四球で逆にホッとしたかもしれない」とした。

 ネットの普及でファンの声がダイレクトに届く時代。功労者にふさわしいラストはどうあるべきか。関本氏は「引退試合をできるのはありがたいこと。ファンはもちろん、引退する本人が納得するのが一番では」と語る。

 四球を出した松坂も斎藤も、見逃し三振に終わった藤井も充実の笑顔が印象的だった。今後は“真剣勝負”でケジメをつけるケースが、増えていくのかもしれない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス