智弁和歌山3度目V!中谷監督が選手&監督で頂点 異例ずくめの甲子園で壮大な夢実現

 「全国高校野球選手権・決勝、智弁和歌山9-2智弁学園」(29日、甲子園球場)

 決勝が行われ、智弁和歌山が智弁学園(奈良)との“智弁対決”を制し、21年ぶり3度目の優勝を果たした。阪神などでプレーした中谷仁監督(42)は、プロ経験者の監督として1982年夏の蔦文也監督(池田)以来の全国制覇。高校時代の97年夏にも同校の選手として日本一となっており、選手、監督の両方で聖地の頂点に立つ偉業を成し遂げた。

 ゲームセットの瞬間に中谷監督は教え子に負けないほど、派手に両手でガッツポーズした。「監督という立場ではなく、口うるさい主将のような気で今もいますので」。ベンチから大きなジェスチャーで鼓舞し続けた思いが結実した。

 強力打線の新スタイルが初回に凝縮されていた。「(相手が)智弁学園さんなので。1点ずつ重ねるよりも、とにかく打ち勝たないと優勝はない」。指揮官の覚悟にナインが5安打を集中させ、一挙4点の先制パンチで応えてくれた。

 終わってみれば16安打9得点。不戦勝となった宮崎商との2回戦を除き、全4試合すべて2桁安打を記録した。ただ全53安打のうち本塁打は2本のみ。長打に頼った攻めではなくエンドラン、スクイズなど多彩なパターンで全国の強豪をなぎ倒した。

 「どこからでもチャンスを作って、誰が回ってきてもきっちり得点できるようにしようという打線を作りたかった」。もちろん、恩師の高嶋仁名誉監督(75)が築き上げた伝統を残した上での最善策だ。強打の礎となる7カ所打撃は今も基本とし、個の力に頼らない攻めを確立した。

 「打線が打たなければ『面白くない』とOB、(高嶋)前監督からも言われました」と苦笑しつつ、理想を貫いた。ブレなかったのも、また恩師の存在ゆえ。「勝利への執念」を学んだからこそ、信じた道を突き進めた。

 「ちゃんとやってよ」という言葉を送ってくれた“特別講師”の効果も絶大だった。昨冬に米大リーグ・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)から指導を受け、「選手一人一人が見えないところでもやれるようになった」と選手の成長に目を細める。

 「イチローさんと時間を共有することでどういった化学反応が起こるのか」と期待した壮大な夢が、聖地で最高の形となった。「サポートしてくれた人はたくさんいるので、全員に『ちゃんとやりましたよ』と感謝したい」。元虎戦士がかつての古巣で歓喜をかみ締めた。

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