【谷佳知氏の眼】侍ジャパン 粘り強い打撃、坂本の姿に日の丸背負う責任感じた
「東京五輪・野球・1次リーグ、日本7-4メキシコ」(31日、横浜スタジアム)
まずは1位で通過できたことは日本にとって大きい。五輪は結果がすべて。内容的にも機動力とパワーを組み合わせた攻撃、ミスのない守備と、いい戦いができていた。
日本の初回の攻撃で、初戦のドミニカ共和国戦とは違う野球をしたいという姿が見られた。得点にはならなかったが、山田、坂本、吉田正、鈴木誠は積極的にバットをどんどん振り、粘り強く相手に球数を投げさせた。
国際試合は相手投手とはほぼ初対戦。ビデオで事前に見ても実際に打席に入らないと分からないものだ。そのため本来ならば最初はじっくりとボールを見たいのだが、この日は勝ちたい気持ちが強く、相手の左投手もタイミングが合わせやすかったこともあり、積極的に振りにいった。
粘り強い打撃も、実は国際試合では重要なことだ。球の回転数とか変化球の曲がり具合とか、粘ることでたくさん情報収集ができ、後の打者に多くの情報を伝えることができるからだ。
また三回に本塁へ坂本がヘッドスライディングした姿も印象的だった。シーズンではあまりしないが、「今日は勝たないといけない」という気持ちが出たのだろう。日の丸を背負う責任を感じ、必死に戦うんだという気迫を見せてくれた。(96年アトランタ銀、04年アテネ銅)