“伝説の男”が帰ってくる。楽天は２８日、米大リーグ・ヤンキースをＦＡとなっていた田中将大投手（３２）の８年ぶりの復帰を発表した。２年契約で年俸９億円プラス出来高。背番号は「１８」。大リーグ通算７８勝を挙げた右腕は「楽天でプレーさせていただきます」とこの日の午前中に石井一久ＧＭ兼監督（４７）に電話を入れたという。涌井、則本、岸との先発４本柱の誕生で８年ぶりのリーグ制覇、日本一へ視界が開けた。（金額は推定）

　寒風吹く夕暮れ時の杜（もり）の都に熱いニュースが駆け抜けた。仙台駅を行き交う人々も驚きの表情を浮かべ、中には号泣する人も。ファンが待ち望んだ元絶対的エースの帰還が決定した。

　発表直後にオンライン取材に応じた石井監督も「本日、田中投手から楽天でプレーさせていただきますと連絡を受けたときにちょっとホッとした」と安堵（あんど）の表情。「楽天や東北の方にとって、すごく特別なことだと思うので、田中選手をお迎えできてすごくよかったと思います」と喜んだ。

　この日の午前中に復帰の意向を電話で伝えられ、すぐさま条件提示。球界最高額の年俸９億円（推定）で右腕を迎え入れることとなった。

　まさに急転直下の復帰劇。楽天所属の選手もほとんどが発表直前まで寝耳に水の状態だったという。以前から田中の楽天復帰への報道は日米メディアで過熱していたが「情報が錯綜（さくそう）して、あたかも決まったことのようになった情報もあったので。間違ったことが出てて嫌だなと思ってたんですけど」と石井監督。右腕の思いを待ち続けた上での速攻アタックで加入にこぎ着けた。

　今オフもメジャーのＦＡ市場の動向が遅く、シーズン開催の不透明感も右腕の復帰に拍車をかけたとみられる。そんな中で、今年は東日本大震災から節目の１０年目を迎えるシーズン。指揮官が「本当にすごくスペシャルな選手にしかありえないタイミングなのかなと思ってます」と語ったように、運命の糸に導かれるようにして、田中は東北に舞い戻る。８年ぶりのリーグ制覇＆日本一へ最高のピースが加わることになった。