巨人 桑田コーチ加入で期待される効果 ベンチ外はプラス要素も 内田順三氏の視点

 巨人が12日、桑田真澄氏の1軍チーフ投手コーチ補佐への就任を発表した。15年ぶりの古巣復帰で、チームにはどのような効果が期待されるのか。桑田氏が現役時代、巨人で打撃コーチを務めていた内田順三氏(デイリースポーツ・ウェブ評論家)に聞いた。

 ◇ ◇

 桑田コーチ就任の話を聞いて思ったのは、原監督らしいなということ。おそらく突発的なプランではなく、原監督の頭にはずっとあった考えだったはずだよ。チームが日本シリーズで4連敗をしたことで、強化策を実行しなければいけない。補強だけでなく、さまざまな角度から考える監督だから、そのひとつが桑田コーチの加入だったのだろう。

 原監督は柔軟な思考の持ち主で、変わることを恐れない。もともと父親の影響を受けて厳しさを備えた監督だったけど、今は時代に合わせて選手を伸び伸びとプレーさせようとしているよね。コミュニケーション能力の優れた元木や宮本をコーチに据えているのも、そうした空気を作り出すためだと思っているが、桑田は今のコーチ陣にはない色を持った人材で、チームに変化をもたらす可能性を秘めていると考えたのだろう。

 彼は引退後に東大で指導者をしたり、スポーツ科学を学んだりしていたが、現役時代から一歩先をいっていた。プロの投手としては体が小さいから(174センチ)、いかにそれを補うかを常に考えていたように思う。斎藤、槙原と3本柱と言われていた時代、桑田が2人を見て「あれだけ体が大きかったら、もっともっと生かす方法があると思いますよ。そうしたら、僕なんか太刀打ちできませんよ」と漏らしていたのを聞いたこともある。

 小さい体をメンタル面でも補っていた。登板中、次打者に投げる前に桑田がスコアボードの方向を向いてひと呼吸置くことがあったが、「何を拝んでいるんだ?」と聞いたことがある。そうしたら彼は「内田さん、違いますよ。あれは打たれたり、ピンチを迎えたりした時、自分のやることを理解して投げるためにやっているんです」と話していた。マウンド上での冷静さ、1球にかける執念や考え方も選手には参考になるだろう。

 試合中にベンチには入らないようだが、それはプラス面もあるように思う。ベンチに入ると、どうしても勝った負けたを追いかけることになるが、ベンチを外れると一歩引いて冷静に選手のパフォーマンスを分析できるだろうから。その方が桑田にはマッチしているかもしれないね。

 現役時代は「桑田ロード」と呼ばれた道ができるくらいに走るなど、コツコツと努力を重ねるタイプだった。けがをして長いリハビリ生活を経験したことで、プロの世界の表も裏も知っている。どういう指導をしていくか、楽しみに注目していきたい。

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