巨人・坂本が課題克服のために取り組んだ練習方法 内田順三氏の視点

 巨人・坂本勇人内野手が8日、通算2000本安打を達成した。31歳10カ月の若さで打ち立てた金字塔。坂本が初めて首位打者を獲得した2016年、1軍コーチとして指導していた内田順三氏(デイリースポーツ・ウェブ評論家)が当時を振り返った。

  ◇  ◇

 私が巨人コーチとして戻ったのは15年のオフ。15年シーズンも含めて、坂本自身の成績は少し落ちていた時期だった。

 内角球を打つのは球界でも1、2を争う。相手も内角に投げられないもんだから、死球の数は驚くほど少ないはずだ。だが、成績が落ちていた頃は引っ張りの傾向が強くなり、外角の逃げる球に苦労していた。

 取り組んだのはヤクルトの杉村(コーチ)が山田哲に課したような、数種類のティー打撃。ウオーキングティー、ツイストティー、八の字ティー、カウンターティー(振って戻す)など、その中から坂本が自分に合ったもの、必要だと思うものをルーティンにしていったが、こちらで言っていたのはふたつ。

 ひとつは真横から投げるティーで、これは体の中心軸を意識付けさせるために効果的で、頭から1本の串で刺されたようなイメージで前から来たボールを打つ。スイング軌道が外回りしたら打てないから、肘が体の近くを通るように振らなければいけない。

 もうひとつはオーソドックスのティーをやる際、踏み出した左足のかかとを上げたまま打たせた。この意図は踏み出した左足のつま先、母指球が上がる癖があり、前の壁が作れず、外のボールに対するスイングが弱かったから。これにより前の壁ができ、強引に打つだけでなく、外のボールも拾えるようになってヒットゾーンが増えた。(この年、打率・344)。

 これは一流の選手は誰もそうなんだけど、坂本は人から吸収しようとする姿勢があり、年下だけど山田哲にもよく話を聞いていたよね。この年にやった数種類のティーも必要だと思うものを自分に取り入れて、ドリル(反復練習)としてやっていた。今もやっているのなら、それが自分に合う、ルーティンとして必要だということでやっているんじゃないかな。

 ただ、それまでの過程も含めて、坂本は原監督が作り上げた最高の選手。遊撃手ということも加えれば、これだけの選手は球界でも見つからない。まだ31歳。この大記録を通過点に、一本一本と積み重ねていってほしい。

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