オリックス【きょうは何の日】1997年、イチロー初サヨナラ弾
「オリックス2-1ロッテ」(1997年10月7日、グリーンスタジアム神戸)
1-1で迎えた九回1死からイチローが河本育之の5球目を叩いた打球は右中間スタンドの最深部まで伸びていった。イチローがプロ初体験となるサヨナラアーチで試合を決めた。
「ホームランっていうのは手応えがないのが手応えなんですよね。年に1度の当たりがペナントが決まってから出たという感じですね」
ヘルメット姿のままかり出されたお立ち台。いつもはひと言ひと言考えながら話をするイチローが興奮からかいつになく冗舌になる。
サヨナラ打は昨年9月23日・日本ハム戦、優勝を決める劇的なサヨナラ二塁打を放って以来。自身2度目。ホームランで決めたのは初だ。
「これが優勝を決める試合だったらね」
イチローがこぼしたのは昨年の興奮を思い出したからだろう。消化試合なのが悔しい。
とはいえ、西武の優勝が決まったいま、ファンの楽しみはイチローの最多安打と首位打者のタイトル。最多安打はほぼ当確。打率も最後の一発でほぼ安全圏を確保。
「宿題をやっていない子は早く帰ってやりなさい!」
ファンへのひと言を求められて大サービスのこんなセリフまで飛びだした。しらけてしまいがちな消化試合。最後の最後に盛り上げるあたりはやっぱり最高のエンターテイナーだ。
当日のスタメンは次の通り。
(7)田口 壮
(5)佐竹 学
(9)イチロー
(D)トロイ・ニール
(8)谷 佳知
(3)ジェームス・ボニチ
(6)小川博文
(2)中嶋 聡
(4)福留宏紀
(P)伊藤隆偉