プロ注目のNTT西日本・大江&野村 天国のチームメートへ白星ささげる
「都市対抗近畿地区2次予選・第1代表トーナメント1回戦、NTT西日本13ー1NOMOベースボールクラブ」(2日、わかさスタジアム京都)
NTT西日本が、七回規定によるコールド勝ちで1回戦を突破。プロ11球団23人のスカウトが集まった中、プロ注目の最速151キロ右腕のNTT西日本・大江克哉投手(24)が5回4安打1失点の投球を見せ、同じくプロ注目の野村勇内野手(23)が2ランを含む2安打2打点2盗塁でアピール。今後に向け弾みをつける1勝となったが、この日チームは特別な思いで戦っていた。試合後、野村はこう話した。
「中井の思いも背負って勝つしかないという感じです。(目標は)絶対に優勝して。中井も見てると思うので。チームでもずっと言ってます」
中井、とは今年4月に骨肉腫で亡くなったチームメートの中井諒さんのこと。大江と野村は同期入団で親しい間柄でもあり、この日チームとして全選手が帽子に中井さんが背負っていた背番号「6」の文字を、左袖には喪章を付け、ベンチには中井さんのユニホームを置いて今年最初の公式戦に挑んでいた。
中井さんは昨年秋に病に襲われ、入院中には野村は他の同期らと共に見舞いにも行った。野村はその間に今の二塁にコンバートされたこともあり、遊撃手だった中井さんとは「一緒に二遊間組みたい」といった話をすることもあったという。
先発した大江は、今でも堅実な遊撃の守備を思い出すことがあるという。「あそこに打たせたら絶対にアウトにしてくれるという。何とかあそこに打たせられないかなと思ってましたね。チームのみんなで、あいつもまだチームの一員なんで一緒に戦っていきたい」と力を込めた。
今でも練習場のロッカーの中井さんの場所はそのままで、ユニホームやグローブなどが置かれているという。この日の試合は中井さんの両親も観戦。試合後、大原周作監督は「あっという間に亡くなったので…。去年の今頃は元気にプレーしていたので。非常にいい一勝ができましたし、(中井さんのためという)その思いはこれからも変わらないです」と話すと涙を流した。
常に練習場にあり、この日はベンチにも置かれた中井さんのユニホームを見ると、野村は「目に入る度に、絶対に勝たないと行けないという気持ちです」と話す。大原監督も「中井を入れて29人で戦うという意識を持ってくれているので」と、チーム一丸となって突き進んでいく。