ヤクルト・村上 史上最年少サヨナラ弾 10代サヨナラはゴジラ以来5人目の快挙
「ヤクルト5-4DeNA」(12日、神宮球場)
祈るような願いを、現実に変えた。バックスクリーンへと一直線に伸びた白球に、満員御礼の本拠地が沸騰した。ファンの誰もが期待した逆転サヨナラ弾。大仕事をやってのけたヤクルト・村上が、高々と右拳を突き上げた。
2点を追う九回にバレンティンのソロで1点を返し、なお無死一塁。山崎が初球に投じた真ん中低めのツーシームを完璧に捉えた。それまでの3打席は凡退。「最後に打ててよかった。最高です」。ウオーターシャワーの出迎えに、顔をくしゃくしゃにして喜んだ。
19歳6カ月のサヨナラ弾はプロ野球史上最年少。10代では巨人・松井秀喜以来25年ぶり5人目だ。この2打点で打点リーグトップのDeNA・ソトに1差と迫る78打点。完全に視界に捉えた。
勝負強さの源は、ぶれないメンタルだ。この日の一発も「考えても一緒だと思った。打てていなかったし。開き直って、初球から来たら打とうと思っていた」。恐るべき19歳に、小川監督も「すごいなと思います。そのひと言じゃないですか」と思わず笑った。
若者らしい一面もある。8月に入り、上田から頬にキスされた試合で3戦連発。「お願いします!!」とベンチ裏で“おまじない”をかけてもらっていた。この日は「してもらってないです」と自力で劇的弾を放ったが、臆せず先輩を巻き込むノリのよさも魅力だ。
人生初のサヨナラ弾。「何か不思議な感じですね。あれで終わりなので」と振り返ると「いろいろ迷惑をかけている。もっともっと勝ちに貢献したい」。その誓いを現実にするたくさんの日々が若き大砲の前には広がっている。