オリックス・張奕 涙の1勝目!育成野手出身として初の勝利投手に

 「日本ハム2-5オリックス」(8日、旭川スタルヒン球場)

 オリックス・張奕が6回2安打1失点の好投で育成野手出身として初の勝利投手となった。ヒーローインタビューでは「最高です」と叫び、台湾にいる両親、亡き祖父への感謝を口にして思わず泣いた。

 スタンドで応援する家族が原動力だった。プロ1年目に出会った札幌出身の里佳子さん(26)と昨年7月19日に結婚。11月には長男・侑飛くんが誕生した。当時の張奕の年俸は260万円。青濤館を出て、3人で暮らす生活は決して楽ではなかった。大阪市内の自宅から自転車で約1時間かけて舞洲に通った。

 家族を養うためには支配下登録を勝ち取らなければならない。やれることはなんでもやった。練習、体のケア。昨年6月に外野から投手に転向したばかりで、覚えることも山ほどあった。努力のかいあり、今年5月に念願の支配下登録。妻に電話で報告すると「ウソだ」と信じてもらえなかった。一生懸命、説明するうちにスマホの向こうからおえつが漏れてきた。苦労が少し報われた瞬間だった。

 間もなく1軍昇格も2試合で2軍落ち。そこから絶不調に陥った。小林2軍投手コーチらの叱咤に応えられず悔し涙を流した。

 たどり着いたプロ初先発。MAX152キロの直球を軸に四回までパーフェクト。攻めの投球で日本ハムを寄せ付けなかった。「ファームでやってきたことができた。楽しかった。自分の投球ができました」。いとこの巨人・陽岱鋼に憧れて15歳で日本に渡ってきた張奕が夢を一つかなえた。

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