熊本西、友の死乗り越えつかんだ夢切符 一丸野球で復興の力に

 「選抜高校野球・選考委員会」(25日、オーバルホール)

 帽子を投げ上げた熊本西ナインに笑みが広がった。1985年夏以来の甲子園で、選抜大会は初出場。校長室に吉報が届いた瞬間、横手文彦監督(42)の頬に涙が伝った。「いろんなことがありながら、選手たちは前を向いて頑張ってくれた」。昨年、練習試合中の死球が原因で部員を亡くした中で得た選抜切符。喜びが込み上げると同時に悲しい思い出がよみがえる複雑な胸の内を隠さなかった。

 部員全員が地元中学出身。2016年の熊本地震での被災を乗り越え、高校に入って硬式ボールを握った選手がほとんどだ。「力では強豪にかなわない分、一体感を意識した」とエースで主将の霜上幸太郎投手(2年)。一体感の大切さは熊本地震後、避難所で支援物資を運ぶうちに選手個々が実感した。ボランティアへの思いも強く週末には近隣を清掃するほか、地元の小学校やこども園と野球を通じて交流してきた。

 スローガンは常に笑って勝つを意味する「常笑常勝」。部員45人の中でそれを最も体現していたのが、ムードメーカーの亡くなった部員だった。練習前にグラウンドで手を合わせ、甲子園出場決定を報告した選手たち。霜上主将は「あいつと一緒に戦い、甲子園で2勝して地元の方々に元気や勇気を与えたい」と誓う。亡き友と熊本県民のため、笑顔で全力野球を披露する。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス