のまれた近江、投手・林は「2ランスクイズは想定外」監督59歳誕生日、勝利贈れず
「第100回全国高校野球選手権・準々決勝、金足農3-2近江」(18日、甲子園球場)
近江(滋賀)は17年ぶり4強進出まで目前に迫りながら、金足農(秋田)に逆転サヨナラで敗れた。佐合大輔(3年)-林優樹(2年)のリレーで相手を封じ込め続けたが、九回、無死満塁からの2ランスクイズに屈した。
球場全体に広がる金足農への声援で、近江ナインはアウェーの雰囲気にさらされた。無死満塁から三塁への犠打。一塁へ送球する間に、三塁走者に続き二塁走者にも生還された。2ランスクイズを決められた林はぼう然と涙をあふれさせた。「あの空気の中で、冷静に判断できなかった。サードランナー、セカンドランナーを見て、声を出していけばよかったと思った」と肩を落とした。
スクイズのための練習は何度もしていたが「2ランスクイズは想定外」。大きな歓声の中で、野手からの指示の声はかき消された。「焦って、昨日とは違うマウンドだった。金足農の3年生の意地みたいなのが伝わってきた」と振り返った。
センバツ3回戦・対星稜に続き、甲子園でサヨナラ負け。この日は多賀章仁監督の59歳の誕生日だったが、勝利で祝うことはできなかった。林は「監督に勝利を、と考えていたのに。来年絶対ここに帰ってきて、この日に監督に勝利をプレゼントしたい」と誓った。
多賀監督は「うちがどうこうというより、吉田君の気迫と金足農さんの全員野球が(自分たちを)上回った。吉田君はランナーが出るとギアを上げる。あのすごい気迫は素晴らしい」と脱帽。「うちもこれだけの大観衆の中で、これだけのゲームができたことを感謝したい」と思いを述べた。