リム・アンダーセン練習補助員 甲子園に憧れ…インドネシアから明徳義塾へ留学
「選抜高校野球・3回戦、日本航空石川3-1明徳義塾」(30日、甲子園球場)
明徳義塾(高知)は日本航空石川にサヨナラ負けを喫し、8強入りを逃した。1点リードの九回、エース・市川悠太投手(3年)が原田竜聖外野手(3年)に逆転サヨナラ3ランを浴びた。
エースの異変に気づいた。最終回、明徳義塾の練習補助員のリム・アンダーセン(3年)はベンチ裏で待機しながら、テレビに映る市川に目をやった。「フォームが開いていた」。寮では同部屋で、ブルペン捕手としても間近で見てきたからこそ心配だった。よぎった不安は的中。「打った瞬間、やばいと思った」とサヨナラ被弾に天を仰いだ。
野球の魅力にどっぷりとはまった。インドネシアの首都・ジャカルタ出身。友人がきっかけで興味を抱き、5歳で地元の野球チームに入った。めきめきと実力をつけ、14歳でU-15インドネシア代表に選出された。動画サイトで甲子園の試合映像を見て、完全に心を奪われた。
留学生として中3時に来日。明徳義塾に進み、入部後はほかの部員と同じメニューをこなした。「インドネシアはみんな友達みたいに付き合う」と日本特有の上下関係に戸惑い、言葉の壁にもぶつかった。それでも「やめたいと思ったことは一度もない」。野球も寮生活も、日本語習得にも必死に取り組んだ。
努力は報われた。佐藤洋部長(39)の提案で開会式のプラカード役を任され、初戦ではボールボーイを担当。だが、満足していない。夏は市川とのバッテリーで帰ってくることが目標。そのために練習を重ねる。