「楽天６－０日本ハム」（１９日、Ｋｏｂｏパーク）

　楽天・美馬学投手（３１）が今季初の完封で自己最多の１０勝を挙げ、３１歳のバースデーを自ら祝った。８月５日のロッテ戦で２桁勝利に王手を掛けたが、それから４試合連続で足踏み。“５度目の正直”で悲願を達成した。

　「自分の誕生日に（１０勝の）壁を破れてうれしいです」。昨季９勝に終わった右腕は、ついに到達した大台を感慨深くかみ締めた。１４０キロ台後半の直球はキレを増し、カーブ、スライダーを有効に交えてわずか３安打、無四球。梨田監督も「春先の、良かった頃に戻ってきたね」と目を細めた。

　八回終了時で球数は１１３だったが、「なかなかないチャンスなので」と続投を志願し、スコアボードに９つの「０」を並べた。レギュラーシーズンで本拠地で完封するのは初めてのことだ。

　１０勝へ何度も足踏みが続き、気持ちを切り替えたかった。則本に勧められ、この日、今季初めて青いグラブを携えてマウンドに上がった。「ノリ（則本）に『これにしたらどうですか』と言われて。勇気もいりましたけど、何かを変えたかった」。気分転換が吉と出た。

　お立ち台では、松井裕からケーキをプレゼントされ笑顔を見せた矢先、阿部と福山に“顔面ケーキ”をお見舞いされ、クリームまみれになった。手荒い祝福に、「こういう誕生日、人生で初めてです」と照れくさそうに笑った右腕。２位西武に２差に迫り、自身にとってもチームにとっても大きな１勝だった。