仙台育英最後の打者・尾崎「ケガして脳みそが変わった」 夏への原動力に

 「選抜高校野球・1回戦、福井工大福井6-4仙台育英」(23日、甲子園球場)

 フルスイングは空を切った。天を仰いでサイレンを聞く。左目の視界はまだクリアじゃない。それでも「イチかバチか行ってこい!」と九回2死で代打に送ってくれた仙台育英・佐々木順一朗監督(57)の思いには応えたつもりだ。尾崎は「しっかりスイングできた、次、頑張る」と前を向いた。

 本来は正捕手で4番。しかし、今年1月の練習中に左目に球を当て眼窩(がんか)底骨折を負い、手術を受けた。約20日の入院生活は寝たきり。支えたのはチームメートだ。LINEや電話は毎日。グラウンドから電車などで約1時間もかかる病院まで、連日ナインが来てくれた。

 「練習の様子や面白かったこと、集合での話なども教えてくれた。ケガで仲間の大切さに気づいた」。3月2日に練習復帰。次に球が当たれば失明の可能性があると医師から言われたが「焦るな」と皆が励ましてくれた。

 この日は背番号12の渡部が秋の県大会以降で初のスタメンマスク。尾崎は緊張する渡部の尻をたたき、ベンチで声をかけ続けた。背番号17の杉山が2安打2打点すると、自分のことのように喜んだ。

 今も左目は物がゆがんで見える。それでも「ケガをして脳みそが変わった。前はマイナス思考だったけど今は打てなくても楽しい」。野球ができる喜びと仲間への感謝の思いは、夏への原動力になる。

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