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【野球】市岡が魅せた角度と緩急の秘密

甲子園球状のマウンドで躍動した龍谷大平安・市岡奏馬投手
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 今春のセンバツで4強に進出した龍谷大平安。その中で一際、輝いていたのがエースの市岡奏馬投手(3年)だ。決して投手力の下馬評は高くなかった。それでも4試合で防御率0・94という結果には、ある秘密がある。

 もちろん昨秋の近畿大会で露呈した制球難を克服したのは大前提。ただ常時140キロを越えるストレートが無い中でも、市岡がマウンドで見せた工夫はボールの角度と投球フォームの緩急だ。

 全試合、左腕はプレートの一塁側を踏んでいた。「ずっと前からこのスタイルです」と右端から左打者の外角、右打者の内角へ鋭角に食い込むボールを投げ込んでくる。外角も右打席から遠く見えているような反応をするバッターが多かった。プロではほとんどの投手が右なら三塁側、左なら一塁側を踏んでいるが、高校生では希有な存在だ。

 実際にプレートの真ん中を踏むドラフト候補の創志学園・高田萌生投手(3年)は、最速149キロの直球を持ちながら高松商打線につかまった。188センチ右腕の敦賀気比・山崎颯一郎投手(3年)も、プレートの真ん中を踏み、海星打線に2本の決定打を許した。

 近年は打撃マシンの性能が発達し、強豪校には140キロ台中盤の直球を簡単にはじき返す高校球児が増えている。だがマシンで“縦の角度”は演出できても、“横の角度”をつけたストレートはなかなか演出できない。

 プロのスカウトは「ここ数年は、左投手が甲子園で活躍する傾向があるのもマシンの発達があるからではないか。角度が違うからね。サイドやアンダースローの投手が増えてきているのも同じ理由じゃないかな」と分析する。そしてもう一つ、市岡は今大会38回1/3で3者凡退に抑えたのは10イニングしかない。

 全試合、ほとんどの場面で走者を背負っていたが「大会前から、色んな場面を想定して考えていた」と市岡。例えばセットポジションからゆったりと一塁走者を見ながら足をあげ、打者には速いストレートを投げ込む。時にはクイックモーションから110キロ台の緩いチェンジアップを投じる。

 主に直球、チェンジアップ、スライダーが試合で使う球種だが、それぞれにフォームのバリエーションがあり、数えられただけでも10種類以上。これに打者はことごとくタイミングを狂わされ、決定打を許さなかった。最後は左手中指のマメがつぶれ智弁学園打線に捕まったが、原田英彦監督(55)は「市岡は本当に成長した。よく頑張ってくれた」と称賛を惜しまない。

 大会前、決して投手力の下馬評は高くなかったが、市岡が見せた抜群の投球技術。投手の力量を図るのは決して、スピードだけではないことを左腕は証明していた。(デイリースポーツ・重松健三)

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