相撲のまちに“どすこいスラッガー”
「高校野球・愛媛大会」(11日開幕)
愛媛に豪快な打撃で注目を浴びるスラッガーがいる。野村の主将で4番の田中力内野手(3年)だ。184センチ、100キロの恵まれた体格を生かし、名前通りのパワフルなスイングで高校通算36本塁打をマーク。幼少期から地元で盛んな相撲でも活躍した怪童は、チーム初の甲子園出場を目指して夏の大暴れを誓った。
江戸時代末期から続く伝統行事「乙亥(おとい)大相撲」で知られる西予市野村町。元関脇玉春日(現片男波親方)を輩出したこの山あいの“相撲のまち”に、今年は金属バットで猛威をふるう怪童がいる。
身長184センチ、体重100キロ。高校通算36本塁打を誇る野村の主砲・田中力だ。
長滝剛監督(35)が「ケタ外れ」と表現する圧倒的なパワー。5月の熊本遠征では3打席連続本塁打をマークし、6月上旬の四国王者・英明(香川)との練習試合では相手の好左腕・田中から推定140メートルの特大弾を放った。「調子は悪くない。ライナー性の打球を意識して1球1球大事に打っています」。打撃練習終えると、田中力は人なつっこい笑みを浮かべた。
幼少期から体が大きかった田中力は相撲でも地元期待の星だった。野球に熱中するかたわら「乙亥大相撲」にも毎年出場。小学4年時には2位に入り、全国大会でもベスト16入りの経験を持つ。
中学卒業前には全国レベルの強豪で知られる同校相撲部から誘われただけではなく、プロの相撲部屋からも勧誘を受けた。だが「野球の方が好きだったから」と迷いなく野村野球部へ。1年夏からレギュラーを張り、現チームでは主将にも選ばれ仲間をけん引する。
今春の県大会4強入りで手応えをつかみ、最後の夏にチーム初の甲子園を狙う。13日の初戦の相手は松山工。11日の開会式では、選手宣誓も務めることになった。「高校野球100年というテーマで考えています。目標は1試合1本、ホームランを打つこと」。何かやってのけそうな雰囲気を漂わせている。