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統一球変わったけど変わらない本塁打数

 開幕直後に球界を揺るがした統一球問題。1軍公式戦で使用する統一球が基準より飛びすぎていた事実が発覚し、4月29日、基準値内の適合球に切り替えられた。異例ともいえるボールの“交代劇”から2カ月。本塁打が乱発していた現象は収まったようにも映るが、意外にも数字上は大きな変化がないことが分かった。

 シーズン途中でのボールの変更。その影響はどれほど出ているのか。変更前後の1試合平均の本塁打数を見ると、セ・リーグではDeNA以外の5球団が減少しているが、パ・リーグではロッテ、オリックス以外の4球団で増えている。トータルではわずかに減少傾向にあるものの、劇的に変化しているとは言い難い。

 その違いについて、反応を示す選手も少ない。広島・前田は「そこまでの違いはないと思う。打ち取った打球がホームランになることもないし、ホームランになったとしてもそれは風や球場や打者のパワーとか、色々なものがある」。日本ハム・中田も「分からないというのが正直なところ。前にホームランが出なくなった時があって自分もボールのせいにしていたけど、自分の技術のせいだと分かった。統一球も適合球もしっかりと捉えれば飛ぶ」と言い切る。

 変化が見られないのはなぜか。日本野球機構(NPB)の関係者は「反発係数だけでなく気候や湿度、投手との対戦が一巡して打者が慣れたことなど、色々な要因があるのではないか」と話す。反発係数は0・001の違いで飛距離が約20センチ変化するとされるが、今回の問題で基準値の上限を超えていたのは平均値で0・003。単純に考えれば、飛距離は60センチ程度の違いとなる。大幅に基準値を上回っていたボールもあったが、トータルでは劇的な変化にはつながらないかもしれない。

 また、ミズノは違反球が製造された要因に、ボールの材料である羊毛が冬場に乾燥していたことを挙げた。この期間に製造された一部のボールだけが上限を上回っており、“違反球”はそれほど出回っていなかったという見方もある。

 もちろん、変化の違いを口にする選手もいる。投手がほとんどで、4月は不調に苦しんだ巨人・マシソンは「全然違う。NPBの発表があってから、大きな違いがあることがはっきりと分かった」と強調。DeNA・久保も「客観的に見て1試合に2本くらい、飛ぶボール(違反球)だったらスタンドに行っていた打球が行かなくなっていますね」と証言する。

 阪神は4月29日以降、1試合あたりの本塁打数が0・78本から0・56本に減少した。チームの成績も変更前後では、17勝10敗から17勝24敗と下降。和田監督は「特別、野球が変わったというほどの影響はないと思う。ただ、うち的にはチームの状態が落ちていったから、そう考えると飛ばなくなったかな、と思う部分もあるよね」と漏らした。

 統一球については、昨年もNPBが極秘に飛ぶよう変更していた事実が発覚。コミッショナーが辞任に追い込まれるなど、問題が続いている。こうした状況に、巨人・村田は反発係数の上限値や下限値を決めず、目標値だけを設定すべきと意見。「ボールのことで打った、打たないと言われたくない」と再発防止を訴えている。

 ミズノは本塁打数の増減について「お答えできる立場にない」とした上で「安定したボールを供給できるよう努めたい」とコメントした。騒動後、新たに製造された統一球は納品前の検査で基準内であることが確認されており、安定供給の体制は確立されつつある。

 統一球問題について、選手の多くは過去の出来事と捉えている。巨人・菅野は「ボールが変わったとしても、特に(投球を)変えることもない」ときっぱり。ボール同様、選手の気持ちもしっかりと切り替わっていると言えそうだ。

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