阪神・湯浅 977日ぶり回またぎで11戦連続0封 「一緒に投げられてうれしい」難病乗り越えた福との“競演”に燃えた

 「中日1-5阪神」(25日、バンテリンドーム)

 三塁ベンチに座る阪神・湯浅は、静かに心を奮わせていた。八回2死一、二塁を切り抜けるなど2回無失点の熱投を終えた直後に、味方が4点を取って勝ち越しに成功。ただ、理由はそれだけじゃない。マウンドで腕を振る福の背中を、目に焼き付けるようにして胸に刻む。国指定の難病を患った者同士の“競演”。復帰後2勝目にまた、戦う理由ができた。

 「なんだろう…なんだろうな。やっぱりベンチで見て、感慨深いものがありました。1軍の舞台で、一緒の試合で投げられたのは、すごくうれしいものがありましたね。これからも頑張ろうという気持ちになりました」

 まだ興奮冷めやらぬ試合後、湯浅は一言、一言、丁寧に言葉を紡いだ。九回、乱調のマルテの後を受け、福がマウンドに上がった。左腕は21日に登録されたばかりで、1軍のグラウンドでは復帰後は初対面。現役選手では2人の他にDeNAの三嶋、ロッテの岩下が「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」を患い、切除術を受け競技復帰している。

 「自分の中でもやれる。もう一回、頑張ることができた」。そんな3人の姿がリハビリ中の湯浅には希望だった。この日、練習前にはグラウンドで会話。「ちょっとしか時間がなかったですけど、いろんな話をしました」と刺激を受けた中、ついに投げ合いが実現した。湯浅も977日ぶりのイニングまたぎで2回0封。これで登板11試合連続無失点、防御率0・00と抜群の安定感が光る。

 「三嶋さんも、岩下さんもそうですよね。みんなが1軍でやれたら、勇気をもらえる人もいる。自分がそうやって勇気をもらいながら、リハビリも頑張ることができた。自分もそういう存在になれたらなと思います」

 三重県出身。この日のスタンドには両親や、中学時代の同級生らが応援に駆けつけた。4月29日の復帰後初登板に5月23日の今季初勝利。復帰後初の回またぎ登板と、節目は全てバンテリンドームで「東海出身なので、そこは」とちゃめっ気たっぷりに笑う。復活はまだ途上。暗闇に光をかざした恩人との再会で、歩みは力強さを増していく。

野球スコア速報

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス