江越1号!鳥谷以来の虎新人甲子園初弾

 「阪神3-1ヤクルト」(28日、甲子園)

 失敗を恐れぬ若武者が開幕3連戦以来の連勝を運んできた。ドラフト3位の阪神・江越大賀外野手(22)=駒大=が二回、左越えにプロ初本塁打、初打点となる先制3ラン。甲子園の広さをものともしない抜群の破壊力。反攻の始まりや-。

 聖地のカクテル光線が江越を暖かく包み込んだ。「全然覚えてないです」。興奮のあまり、ダイヤモンドを回ったことは記憶に残らなかった。ただ、虎党の脳裏にはしっかりと焼き付いただろう。待望のプロ第1号は本拠地・甲子園での一発だ。

 「初ヒットも甲子園だったので、初ホームランも甲子園で打ちたいと思っていました」

 0-0で迎えた二回1死一、三塁。「力みました」と初球のスライダーは空振り。だが冷静に気持ちを落ち着かせた2球目、真ん中のスライダーを捉えた。打球は浜風に乗り、左翼フェンスを越えてスタンドに着弾。ダイヤモンドを一周し、一塁ベンチ前には祝福の列。その一番後ろで待ち構えていた梅野に「ポンッ」と頭をたたかれると、江越は満面の笑みでそれに応えた。

 「まじめで誠実ですよ」。江越の阪神入団が決まると、13年大学日本代表時のチームメートだった梅野は後輩の印象を話した。「そのままの気持ちでプロに入ってやり続ければ、大丈夫だと思います」。自らも昨年は新人で92試合に出場した。だからこそ、伝えられることがある。

 江越は1月の先乗り合同自主トレ時に打撃フォームを崩すと、すぐ梅野に指導を請うた。翌日のフリー打撃では快音を連発。「いてくださって助かります」。休日に美容院へ一緒に行くなどプライベートでも多くの時間を過ごす二人は、固い絆で結ばれている。

 4月5日・巨人戦に「7番・中堅」でプロ初スタメン。3打数無安打2三振と苦杯をなめたが、出場6試合目の18打席目で待望のホームラン。阪神新人の甲子園でのプロ1号は、2004年の鳥谷以来11年ぶり。和田監督も「いってほしいところで一気に3点が入って大きかった」とたたえた。

 江越は「結果を恐れず、また明日から頑張ります」と力を込めた。ホームランボールはひとまず甲子園歴史館に飾られる予定。開幕3連勝以来の連勝に導いた江越の躍進は、ここから始まる。

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