「巨人0-0阪神」(30日、東京ド)
虎がキバをむき出しにして、執念のドローへと持ち込んだ。九回無死満塁、サヨナラのピンチで榎田大樹投手(25)が無失点。26球の熱投で踏ん張り、他の投手陣も無失点でつないだ。伝統の一戦で0‐0引き分けは69年ぶり。歴史的な粘りで同一カード3連敗を阻止した。きょうからはナゴヤドームでの中日戦。巻き返しへ、期待十分だ。
打てなかった。でも、打たれなかった。伝統の一戦でのスコアレスドローは、1リーグ時代の1943年11月7日に1度あるだけの珍事。時間を戦前まで巻き戻すほどの歴史的な投手戦だった。
最大の勝負どころは九回。榎田が絶体絶命のピンチを招いた。無死から阿部、村田に連打され、続く高橋由を敬遠。無死満塁と、サヨナラ負けが目の前をちらついた。前日には今季初失点したばかり。がけっぷちに立たされた左腕が、ど根性を発揮する。
敵将はここから代打を3連発。最初の刺客は、谷だ。2ボール1ストライクから3球連続ファウルで粘られ、7球目がすっぽ抜けてフルカウント。押し出しでもジ・エンドだ。敵地が沸く。
勝負球に選択したのはカットボール。「自分が一番自信のあるボールを投げた」。コースは真ん中付近だったが、鋭い曲がりで空振り三振に切った。
なお1死満塁で加治前。ここでもカットボールが生きた。1ボール2ストライクと追い込み、最後は伝家の宝刀で浅い右飛に。最後は実松を二飛に仕留め、ガッツポーズした。
自作自演の大ピンチから脱する熱投26球。試合後は、反省しきりだった。「最悪です。1人、1人抑えることしか考えていませんでした」。1人、1人‐。いつだって、その意識でアウトを積み上げてきた。
遠征用のバッグには、“お守り”が入っている。メジャーの公式球だ。約1カ月前。この日と同じ舞台で、開幕前にマリナーズと対戦した。5点リードの八回に登板したが、先頭の川崎に二塁打されていきなりのピンチ。次はイチローだった。
「ピンチだったので、意識する余裕がなくて、抑えてから『あっ、イチローさんだ』って思いました」。苦笑いで振り返るが、きっちりイチロー以下を打ち取り無失点。この日も同じだった。集中力を研ぎ澄まし、無心になって打者を封じた。
勝てなかった。でも、負けなかった。東京での3連敗を阻止し、明日につながるドロー。5月1日からの中日3連戦に向け、指揮官も前を向く。
「頑張っていれば何が起こるか分からない。今日は投手陣が抑えてくれた引き分け。ナゴヤドームは分が悪いんで、流れが変わる試合をしていきます」
さあ、今度は竜倒。粘って、粘って、守り勝つ。
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