6回、逆転3ランを放った城島(左)を歓喜の表情で出迎える真弓監督(撮影・飯室逸平)
「広島6-10阪神」(12日、マツダ)
何かが起こる‐。勝負師の嗅(きゅう)覚が、そう確信させた。劣勢の六回に飛び出した逆転3ラン。ハイタッチの先頭で、真弓監督がいきなり帽子を脱いだ。そしてベンチに戻った城島に深々と頭を下げて最敬礼だ。
「あれで今まで“フン詰まり”してたのが一気に出た感じやね」
男前で鳴る指揮官らしからぬ、いささか品のない?言い回し。でも本当にそうなんだから仕方ない。報道陣に囲まれながら、珍しく白い歯をこぼした。連敗脱出の安堵(ど)に浸るというよりは、残された戦いへの手応えをかみしめるような風情だった。
最強の1番打者として優勝に貢献した85年。伝説のバックスクリーン3連発を選手として目の当たりにし、25年後のこの日は指揮官としてその歓喜に浸った。
チームをVロードへと導く3連発。しかし、指揮官は笑いながらこう言った。
「あのころは21年間も優勝してなかったチームだからね。今のチームは当然優勝争いするチームなんやから」
充実の戦力を思い浮かべながら胸を張った。劇勝という“追い風”を要した25年前とは違う。今の猛虎には、あのころ以上の力がある。くしくもこの日は日航機墜落事故で中埜肇球団社長が不慮の死を遂げてから25回目の命日。覇権の瞬間を見ることなく急逝した先達への弔い星は、覇権を大きく手繰り寄せる1勝となった。
(2010年8月12日)














