「声を出さないで遊びましょう」 衝撃的な公園の注意書きはなぜ?

 10連休も後半に入り、今日は近くの公園ででも…というご家庭もあるのではないでしょうか。そんな中、インターネット上では「声を出さないように遊びましょう」という公園の注意書きに気付かず子どもを遊ばせていて警察官を呼ばれた-というエピソードが話題になっています。ブログで紹介されると、SNS上では「本当にそんなところあるのか」「息苦しい」などの反響が。一体、何があったのでしょうか。女性に取材しました。

 エピソードをつづった女性は、日曜日の昼下がり、5歳と0歳の子どもと友人の子どもと一緒に、近くの公園に出かけました。住宅街の中にある公園ですが、他には誰も遊んでおらず、貸仕切り状態。最近できたばかりできれいな遊具もあり、子どもたちは大喜びで、おままごとをして遊び始めました。

 ですが、しばらくして警察官がやってきて、申し訳なさそうに「注意書きを見てください」と言われたそうです。そこには「花火をすることはできません」「危険な遊びはやめましょう」などに加え、「声を出さずに遊びましょう」との一文が。警察官は「遊び続けて大丈夫ですよ」と言ったので、子どもたちは声のトーンを落として遊び続けましたが、15分もしないうちに再び通報され、警察官がやってきたそうです。

 「時折名前を呼び合う声は大きかったかもしれませんが、それ以外は奇声を上げる訳でもなかった。楽しい公園で、5歳児を無言で遊ばせ続けるのは無理…」と女性。この公園では過去に何度も通報が寄せられているといい、女性と友人はその場を離れました。教訓として、自衛のためにも「神経質過ぎないか?と思う注意書きがある公園では遊ばせないようにします」といいます。

 今やボール遊びや大声で遊ぶのは禁止-という公園は少なくなく、女性の周囲でも公園の注意書きがどんどん増え、小学生の男の子たちはあきらめてゲーム機を持ち寄って遊んでいるそうです。その反面、世間ではスマホを育児に使うことへの批判や、ゲームのし過ぎが問題視されています。女性は、かつて子どもだったころ、遊んでいる自分たちを笑顔で見守ってくれた近所のおばちゃんたちを思い起こしつつ、「子どもから大人までいろいろな世代の人が使える公園になれば」と願います。

 子どもの声を巡っては、各地で保育園建設を巡って裁判や反対運動が起きており、そのたびに双方の意見が対立しています。子どもの声は状況によって騒音になりうると認められる一方で、待機児童解消を急ぐ東京都は、2014年度に条例を改正し、保育園や公園などの子どもの声を数値規制の対象外にしました。

 他方で、大家族や周囲に子どもが多かった時代に比べ、少子化も進み、子育てが「家族」のプライベートな事柄として捉えられるようになったことや「迷惑をかけない」ことを求める風潮もあり、「子どもが苦手」という人も増えています。聴覚過敏などで、子どもの高い声がどうしても耐えられない-という人もいます。

 ただ、意見が違うからと一方的に批判・否定したり、排除したりする環境で育つのは、子どもにとっても良くないし、大人自身も生きづらいはず。まずはお互いを知り、妥協していける寛容な社会であってほしいと思います。

(まいどなニュース・広畑千春)

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