広島で話題の「だしの自販機」 高額投資でも自動販売機にこだわる理由

広島市内に設置されているだし道楽の自動販売機
直営店のうどん屋だし道楽吉浦店に設置している自動販売機
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 日本全国にジュースの自動販売機は置かれているが、「だしの自販機」をご存じだろうか。広島市江田島市の有限会社二反田醤油が、おでんやうどんなどに使用できる万能調味料「だし道楽」を販売する自販機を北は北海道から南は福岡まで全国に設置している。

 先日、広島在住の後輩と夕食をともにした。別れ際に「おでんの季節にもなってきましたし、“だし道楽”を買って帰ります」と、自販機に700円投入してペットボトルを取り出した。「これ何でもいけるんですよ。わが家は常備してます」と万能調味料であることを説明してくれた。

 実は広島市内に「だしの自販機」が設置されていることは知っていた。ただ、ジュースを買うような感覚で買っていく人がいるのか疑問に思っていたが、身近に利用者がいた。

 二反田醤油に電話すると、全国10都道府県、55カ所に57機の自販機があるという。2003年にトビウオの別名であるあごを炭火焼きして1匹丸ごとペットボトルに入れた「だし道楽」を開発。当初は直営店のうどん店で販売していたが、営業時間が10時から14時30分と短かったため、当時の社長が24時間販売できる方法として2007年より自動販売機を導入したという。

 二反田醤油によると「ショッピングのついでに買い求めてもらいたい。車も止めやすい」とコインパーキングを展開する「三井のリパーク」の協力により、広島県内の駐車場近くに自動販売機を設置した。全国展開する「三井のリパーク」とともに「だしの自販機」も全国に広がっていった。

 「だし道楽」の売り上げの70パーセントが自販機によるもの。長崎県平戸産のあごをじっくり炭火焼きし、スタッフが素材の状態も見ながらペットボトルに手作業で入れていく。同社によると「天然素材にこだわり、手作業なので大量生産できない。だから自販機での販売方法を守りたい」という。

 自販機を購入するには高額な投資も必要となる。しかし「広告的な役割もしているので。ネットや口コミで話題になれば広告を出す費用に見合う金額かなとも思います」と話題性も手伝い、現在の販売方法を守るという。「これからは福山市や広島県東部の販売を強化できれば」と自販機を増やすことも検討している。あったか料理にもってこいの「だし道楽」は「10月から2月あたりにかなり売れます」と自販機もフル回転の時季を迎えている。(デイリースポーツ・岩本 隆)

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