澤、自らの引退に花を添えるVゴール

 「皇后杯・決勝、INAC神戸1-0新潟」(27日、等々力陸上競技場)

 INAC神戸のMF澤穂希(37)が現役最後の試合となる新潟との決勝に臨み、後半33分、2大会ぶり5度目の優勝に導く決勝ゴールを奪い、1-0で勝った。2万379人が詰めかけた一戦で、有終の美を飾った日本女子サッカー界の“レジェンド”は「素直にうれしい」と、20年以上に及ぶ選手生活を最高の形で締めくくった。

 澤穂希のラストステージには、ドラマでも描けないような感動のフィナーレが待っていた。後半33分、その一瞬だけ、ピッチにサッカーの神様が舞い降りた。

 右CK、MF川澄がボールをセット。澤は心の中でつぶやいた。「決めさせてください」-。その声が天まで届いたのだろうか。川澄の放ったボールはきれいな放物線を描き、澤のもとへ。いつもは近いサイドに飛び込む澤が「警戒されているのを感じた」と、遠くで構えたのが的中した。

 ピンポイントのセンタリングに、頭で決めた。神様ありがとう-と言わんばかりに、天に向かって高々と両手を突き上げた。ピッチサイドを駆け巡り、澤を中心にできた歓喜の輪。最高の花道を自ら飾った。

 日本代表に佐々木監督が就任して以降、ボランチとして“いぶし銀”のプレーで道を見いだした。もっとも、守備への意識が高くなるあまり、最近はなかなか攻撃に絡めずにいた。

 前夜、夫の辻上裕章氏から電話で伝えられた。「澤穂希が、澤穂希のためにプレーする時間があってもいいんじゃないか?」。その言葉で腹をくくった。4月26日のリーグ戦以来、INAC神戸のエースとしてのゴールは、夫の支えがくれた得点でもあった。

 「現役の最後、チーム一丸となって目標である優勝を達成できて、本当にうれしい。ずっと狙っていたゴールを最後に決められて、有終の美を飾れた。より一層、悔いがないと思える試合だった。最高のサッカー人生を終えたかなと思う」

 晴れやかな笑顔で、主将のFW大野から手渡された優勝カップを掲げた。2万379人の拍手に包まれ、チームメートから4度胴上げされ、「すごく幸せ」と、満面の笑みを浮かべた日本女子サッカー界の第一人者。澤穂希は澤穂希らしく、最後まで輝いていた。

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