青森山田、反骨精神実を結び5発圧勝V!鳴海が2分で2発決め得点王

 「サッカー・全国高校選手権・決勝、青森山田5-0前橋育英」(9日、埼玉スタジアム2002)

 20大会連続22度目出場の青森山田(青森)が前橋育英(群馬)に5-0で大勝し、悲願の初優勝を飾った。青森県勢の優勝は史上初。第45回大会(1966年度)の秋田商(秋田)、第85回大会(2006年度)の盛岡商(岩手)を越える最北端優勝となり、高円宮杯U-18チャンピオンシップと合わせて2冠を達成した。前半23分にMF高橋壱晟(3年)の5試合連続ゴールで先制すると、後半にもFW鳴海彰人(3年)の2得点などで加点した。鳴海は通算6得点で大会得点王に輝いた。

 本州最北端の地に優勝旗が渡った。5点差をつけての圧勝劇。青森山田が県勢初の優勝を飾り、95年に就任した黒田剛監督(46)は22年目で悲願の頂点に立った。教え子から胴上げされ3度宙を舞い、「長かったですね。雪国として歴史を刻めたことがうれしい」と思わず目を潤ませた。

 前半は前橋育英の勢いに押され劣勢に立たされたが、23分にMF高橋の5試合連続ゴールで先制に成功。46分にはMF嵯峨が追加点を決めて、シュート3本で2点を奪う決定力の高さを発揮した。

 FW鳴海の独壇場は後半に訪れた。12分に嵯峨の右クロスを跳躍しながら胸トラップで収めると、右足で鮮やかに流し込んだ。いまやトレードマークとなった“Cロナ・ポーズ”で咆哮(ほうこう)を上げると、14分にもゴールを決めて2分間で2得点。通算6得点で大会得点王の座を射止めた。

 北海道新ひだか町出身。小学生の頃、テレビで柴崎(J1鹿島)を擁した青森山田の試合を見て憧れを抱き、津軽海峡を渡った。夏の高校総体でも7得点で得点王に輝いており「冬も取らないとマグレだと思われる。(夏冬得点王の)2冠を取れてうれしい。チーム全体で自分にボールを集めてくれた」と仲間への感謝を込めた。

 雪国のハンディを乗り越えての栄冠だった。雪深い冬は雪上サッカーや2時間を超える雪上ランニングなどで鍛える。東京都出身でFC東京U-15深川から進学したGK広末陸(3年)は「最初はどこで練習するのかと思った。体育館かと思っていたら雪の上で走るのが伝統だった。雪の上の練習はきつさしかなかった」と苦笑いで振り返った。

 だが、黒田監督は置かれた状況も前向きに捉える。「雪解けを待つ間、早くサッカーをやりたいという気持ちが募っていく。メンタルを爆発させるいい充電期間でもある」とメリットを強調。冬を越えてチームは進化し、鳴海も「雪国しかできない練習がある。下半身が鍛えられ、他のチームとは別格の体ができる」と胸を張った。

 「雪のない地域に勝ちたい」と話していた黒田監督は「雪を味方にパワーをつけて、青森、北国に誇りを持ってプレーした成果」と誇らしげだった。反骨の戦いが、ついにその実を結んだ。

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