J2降格の湘南、選手に芽生えてしまったチョウ監督“頼み”
「J1、大宮3-2湘南」(22日、NACK5スタジアム)
年間17位の湘南が大宮に敗れ、来季のJ2降格が決まった。一昨年に圧倒的な強さでJ2優勝を果たし、苦戦が予想された昨季はJ1年間8位と躍進。フィールドプレーヤー全員が激しく動き、ボールを奪い攻撃する“湘南スタイル”とも呼ばれるサッカーを、12年から就任しているチョウ・キジェ監督が浸透させ、チームの原動力になっていた。だが、指揮官の強い指導力、カリスマ性が、時として反対に作用してしまうこともあった。
今季の湘南は開幕当初から苦戦した。第1ステージでは第8節まで勝ちなし。その後、横浜M、鳥栖に勝利するなどやや持ち直したが、第2ステージに地獄が待っていた。第2節の新潟戦で1-0と勝利してから、悪夢の10連敗。その後も白星はなく、大宮に敗れたことで第2ステージの成績は1勝12敗2分けとなっている。
チョウ監督は、降格が決まっての試合後会見で「降格してしまった責任は選手に1%もなくて、やらせたことに対する結果、勝てなかった、残れなかったと思っている」とすべての責任をかぶった。シーズン中から選手、サポーターとも時には激論をかわすことがある熱血漢で、信頼もあつい。だが、そのことが裏目に出ることもあったという。
主力選手の1人、MF菊池大介は「チョウさんの言葉は若手なんかは、それがすべてになってしまう選手が多かったと思います」と反省した。「チョウさんの意図というのは、半分は選手に考えてほしいというのがあった。それをやれている選手と、言われたことだけをやってしまう選手(の両方がいる)ということはあったかなと感じます」「自分達で考えてしっかり変えていく力をつけないとJ1で残っていくのは厳しいのかなと思います」と、監督頼みでは限界があることを痛感していた。
山田直輝もチーム全体として「結果が出ないからチョウさんどうにかしてくれ、となっている時期もあった」といい、自分たちの意思を反映させられていないことがあったと告白した。「チョウさんもそれに気付いていて。お前らは自分で判断してプレーしなきゃいけない、と言うこともありました」と指揮官も軌道修正を図ったが、結果を残せないままシーズンは終盤を迎えていた。
チョウ監督は今後について「今すぐ考えられない」と語った。湘南の真壁潔会長は、来季監督についてのクラブ方針発表は「ゲーム(公式戦)が終わってから。今日、決まっちゃったけど、すべて(日程が)終わってから話したいと思います」と残りのリーグ戦と天皇杯の終了を待つ考えを示した。