「カナダ女子Ｗ杯・準決勝、日本-イングランド」（１日、エドモントン）

　連覇を狙うサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は６月２９日、大半を非公開として約１時間、実戦中心のメニューで練習した。準決勝の相手は過去２分け２敗のイングランド。準々決勝のオーストラリア戦で決勝ゴールを挙げたＦＷ岩渕真奈（２２）＝バイエルン・ミュンヘン＝は“敵方”である英国・ＢＢＣ放送の取材に「オーストラリア戦以上の活躍を期待して！！」と力強く宣言、必勝を期した。

　準々決勝・オーストラリア戦（２７日）で決勝弾を決めた岩渕に、メッセージが届いた。大会初戦のスイス戦で左足首を骨折し、日本で現在リハビリ中のＭＦ安藤梢（３２）＝フランクフルト＝からのものだ。「『よかったね』みたいな…」。詳しい内容こそ明かさなかったが、岩渕はうれしそうに打ち明けた。

　チームには安藤の背番号７のユニホームを着た白いクマのぬいぐるみが帯同。オーストラリア戦では試合前の国歌斉唱で岩渕がそれを抱き、途中出場して決勝点を決めた。

　そしてこの日、岩渕はＢＢＣ記者の取材を受けた。「次戦はオーストラリア戦以上のプレーを期待していいか」と聞かれた時だ。少し間を置いたものの、「まあ、はい。いいと思います」と珍しく強い口調で断言した。

　さらに「ワンランク上のプレーを期待していい」と聞かれて、「全員でパフォーマンスを上げられたらいい。期待してくれていいと思います」ときっぱり。対戦相手の国営放送に堂々と言い切った。

　いつも謙虚で控えめに話す岩渕をそう言わせたのには理由があった。イングランドを破って決勝へ進出した場合、安藤をカナダに呼び戻し、ベンチ入りさせることが決定した。

　日本から８０００キロ以上離れたカナダで安藤の離脱後もともに戦ってきたなでしこにとって、これ以上ないモチベーションとなる。岩渕をはじめ、「アンチ（安藤）を決勝に呼ぶ」を合言葉にチームが一丸となる。