INAC3連覇!明日菜ロスタイム劇弾
「サッカー皇后杯・決勝、INAC神戸1-0千葉」(24日、NACK)
INAC神戸が千葉を1‐0で下し、3大会連続3度目の優勝で、なでしこリーグとの2冠を達成した。INAC神戸は0‐0の後半ロスタイムに、日本代表DF田中明日菜(24)がゴール前でこぼれ球をけり込んだ。今大会を最後に退任する星川敬監督(36)の花道を飾った。
ゴール前に歓喜の輪ができた。後半47分、INAC神戸の誰もが延長戦を覚悟していた。ただ、MF澤だけは違った。「サッカーは何が起こるか分からない」。百戦錬磨のエースは、ラストチャンスにかけていた。CKから流れたボールを折り返す。FW高瀬が放ったシュートのこぼれ球を押し込んだのは田中明だった。
「澤さんに『ここで絶対に決めよう』と言われていた」。殊勲の背番号4が振り返った。この試合を最後に退任する星川監督へささぐ決勝弾。劇的な幕切れで3連覇を決めた。
センターバックを務める田中は、本来のポジションのボランチにこだわりもある。澤、MF池と大きな壁が存在するものの、ボランチでの起用を直訴し、夏場はスタメンを外れたこともあった。それでも「どちらもやれるに越したことはない」とプラスにとらえ、最後に大仕事をやってのけた。
澤も走り続けた。国際サッカー連盟(FIFA)女子最優秀選手受賞に始まり、ロンドン五輪銀メダルと、走り続けた2012年。疲労が蓄積していた中、フル出場で勝利に貢献すれば、MF大野も右膝の負傷をおして出場。指揮官の有終を飾るため、一丸となった結果だった。
一昨年11月に星川監督が就任。チームが初めて獲得したタイトルが、全日本選手権(現皇后杯)だった。FW川澄は「あの優勝で自信が持てた」と言えば、田中明も「最後も絶対取ろうと思っていた」と胸を張った。
首に優勝メダルをかけ、皇后杯を手に会見場に現れた星川監督は「幸せな瞬間を味わえて、選手からは“持っている”と言われた」とおどけた。イレブンから贈られた最高のクリスマスプレゼントを手に、指揮官は常勝軍団を去る。