沢1年ぶり弾!なでしこ「金」3発デモ

 男子大学生を相手に練習する沢=千葉県内
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 「キリンチャレンジ杯、日本3‐0オーストラリア」(11日、国立)

 ロンドン五輪に出場するサッカー女子日本代表が、オーストラリアに3‐0と快勝した。良性発作性頭位めまい症から復帰したMF沢穂希(33)=INAC神戸=は、後半13分に昨年7月17日のドイツW杯決勝戦以来となるゴール。自身の国際Aマッチ通算出場180試合目という節目に花を添えた。FW大儀見優季(24)=ポツダム=は、歴代最多タイとなるAマッチ4戦連続得点。金メダル獲得に向け、なでしこジャパンは最高の形で国内最終戦を終えた。

 歓喜の輪の中心で、女子サッカー界の生きる伝説は、顔をくしゃくしゃにして喜んだ。2‐0の後半13分、MF宮間の左CKから、DF熊谷が折り返したボールは、沢の足元を選んだかのように転がり込んだ。落ち着き払った右足シュート。駆け寄る仲間たち。「サッカー選手として、国立でゴールするのは特別なこと。W杯以来で久しぶりのゴールだったので、うれしかった」。百戦錬磨の大黒柱がしみじみと語った。

 “ラストプレー”だった。3月のポルトガル遠征中に発症した「良性発作性頭位めまい症」から6月のスウェーデン遠征で復帰。現在、病魔は陰を潜めているが、この日も佐々木監督からは「後半12分まで」と決められており、ゴールの瞬間はMF田中との交代用紙が既に提出されていた後だった。「持ってますよね。運の塊ですよ!あのシーン、アップ中だったけど超喜んだ」とFW丸山が話せば、スタンドからプレーを見守った盟友・楽しんごも「試合前には『頑張るよ』ってメールがきた。たくましくてステキ!」。誰もが待っていた瞬間だった。

 ここまで戻ってきた。めまい症が発症してからは「マイナスな要素のオーラを出していた」と振り返るように、表情も暗くネガティブな考えにとらわれた。スウェーデン遠征でのパフォーマンスは低調そのもの。「五輪のメンバーに選ばれるか、本当に不安だった」という。だが「気分転換もたくさんして、最近になって吹っ切れた。『顔つきが変わったね』って昨日もスタッフに言われました。弱気な自分?もういません」と言い切る。

 この日のプレーも、本調子には及ばずミスも目立ったが、好調時は「ボールがこぼれてくるところが分かる」という“予知能力”も「前半から(宮間)あやのクロスが来る位置が分かった。感覚は徐々にだけど戻ってきている。もう、後ろは振り向かない。病は置いて、ロンドンで頑張りたい」。自信と余裕、笑顔が戻ってきた沢の目には“金”しか映っていない。

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