“努力の世界王者”河野公平が現役引退 敗れた井上尚弥は「格段に強かった」

 ボクシングの元WBA世界スーパーフライ級王座を2度獲得した河野公平(37)=ワタナベ=が22日、都内で会見を開き、現役引退を発表した。19年1月12日に東京・後楽園ホールで引退式を行う。戦績は33勝(14KO)12敗1分。

 “努力の世界チャンピオン”がプロボクサー生活に別れを告げた。「たまたまですけど、運命を感じます」という、誕生日の前日であり18年前にデビューした日の会見で、河野は「プロボクサーを引退します。燃え尽きたと思えるまでボクシングをすることができ、本当に幸せです」と発表した。

 所属ジムの渡辺均会長が「典型的な努力でチャンピオンになった選手」と話すように、デビュー戦は黒星、3度目の挑戦で世界を奪取するまでには3連敗も経験するなど、順風満帆とは言えなかったボクシング人生。河野は「18年、いろんなことがあって、いろいろ成長できて、うまくいかないときもあったんですが、それを乗り越えてチャンピオンになって、最高のボクシング人生でした」としみじみ振り返った。

 引退を決意したのは5月に豪州でジェイソン・モロニー(豪州)と対戦し、左目上から大量出血して敗れた後。「傷も深かったし、年齢も今年で38になるし、もうやりきった、納得いくまでできた」との思いがこみ上げ、「それでもボクシングってやりたくなるんですけど、気持ちが盛り上がってこなかった」という。

 最も記憶に残る試合は、不利の予想を覆して初めて世界王座を奪取した12年12月31日のテーパリット・ゴーキャットジム(タイ)戦。多くの強豪との対戦経験があるが、16年12月30日に対戦して敗れた井上尚弥(大橋)を「格段に強かった」と評した。

 今後については「ボクシング以上に熱くなれるものはあまり思いつかない。父がカイロ(プラクティック)の仕事をやっているんで、継ごうかなと思うんですけど、年内は奥さんに『ゆっくりさせてくれ』と言ってます」と現時点では未定。だが、「ボクシングと同じで、コツコツやっていこうと思います」と、努力の人らしい青写真を描いた。

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