山中竜、4月に誕生日迎える母に贈る初防衛 照れながら感謝「いつもありがとう」

 「ボクシング・WBO世界ミニマム級タイトルマッチ」(18日、神戸ポートピアホテル)

 WBO世界ミニマム級王者・山中竜也(22)=真正=が同級4位モイセス・カジェロス(メキシコ)に8回終了TKO勝ちし、初防衛に成功した。左右の鋭いコンビネーションで打ち合いを制した。初の世界戦に挑んだWBA世界ライトフライ級2位の小西伶弥(24)=真正=は同級1位カルロス・カニサレス(ベネズエラ)に0-3の判定で敗れた。

 初防衛は危なげなく成し遂げられた。山中は機動力で挑戦者を圧倒し、的確な打撃でポイントを積み上げた。8回には左フックでぐらつかせるなど、ジャッジ2人がフルマークの一方的な展開。8回終了後、相手陣営が棄権を申し出た。

 重圧から解き放たれた王者はリング上で「今までの試合で一番ホッとした」と安堵(あんど)し、来月3日に47歳の誕生日を迎える母理恵さんに向かい「お母さんいつもありがとう。これからもよろしくです」と照れながら感謝を伝えた。

 「勝ち続けたい」と話すのには理由がある。ボクシングを始めた時、山中は母に一度だけ言ったことがある。「チャンピオンになって家を買うたげるわ」。母と6人きょうだいで堺市内のマンションに暮らしていたが、騒音の苦情もあったといい、子供ながらに心を痛めた。世界王者となり「家を建てられるくらい勝ち続けたい」と、秘めていた思いを口にするようになった。

 「打たせずに打ってきれいに倒す」が理想。王座奪取と引き換えに左眼窩底骨折を負ったが、約7カ月のブランクも物ともせず、この日も「効いたパンチはなかった」と、ほぼ傷のない顔で試合を振り返った。

 中学2年で真正ジムに入門した山中を二人三脚で育て上げた江藤日出典トレーナー(47)は「中学の時からチャンピオンになると思っていた。テクニックはウチのジムで一番。パンチをもらわない頭の位置がいい。あれはセンス」と賛辞を惜しまない。

 「互いに防衛を重ねて強いチャンピオンと認められたらやりたい」と、IBF同級王者の京口紘人(ワタナベ)との統一戦も視野に入れる。“もう一人の山中”も進化していく。

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