【長谷川穂積の拳心論】7度目防衛の田口 大きな試合の後の目標設定が大切
「ボクシング・WBA・IBF世界ライトフライ級王座統一戦」(31日、大田区総合体育館)
WBA世界ライトフライ級王者の田口良一(31)=ワタナベ=がIBF世界同級王者のミラン・メリンド(フィリピン)に判定勝ちし、7度目の防衛に成功して団体統一王者となった。日本人の統一王者はミニマム級の井岡一翔(WBA、WBC)、高山勝成(IBF、WBO)に次いで3人目。
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【長谷川穂積の拳心論】
統一戦という重圧があったのか、田口選手は前半特に硬さがあり、あまり彼らしさが見られなかった。クレバーなボクシングをしながら、ハートは熱いのが彼のスタイル。前戦ではそれが存分に出ていたが、今回は考えすぎたのか、最後の3ラウンドくらいでようやくらしさが出てきた。
メリンドが前王者の八重樫選手を1回TKOで倒したという結果も、頭に残っていたのかもしれない。実際の力以上に大きく考えてしまったのか。勝ちたいという気持ちが常に前面に出ていたのは間違いないが、気持ちに対して思うように体が動いてなかったように感じた。
ただ、それだけの重圧を乗り越えて統一した2団体だ。田口君にとっては大きな自信になるだろう。7度目の防衛を果たしてこれからも防衛回数を重ねていくと思うが、大切なのは次の目標をどう定めるのかだ。
僕の経験では、こういう大きな試合の後に燃え尽きてしまうことがある。そういう時に意外な試合で負けてしまうことがあるのだ。2本のベルトを持つ重圧は計り知れないが、だからこそ今後もそれを背負って統一王座の防衛を続けてほしい。そうすればさらに気持ちの強い王者になれると思う。(元世界3階級制覇王者)