村田が男泣き!エンダムに雪辱!7回TKOで完全決着つけた!

 「ボクシング・WBA世界ミドル級タイトルマッチ」(22日、両国国技館)

 涙の王座奪取だ。ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(31)=帝拳=がWBA世界ミドル級タイトルマッチで王者アッサン・エンダム(33)=フランス=に7回終了TKO勝ちし、新王者に輝いた。5月の王座決定戦で敗れた相手との再戦を制し、日本選手初となる五輪メダリストのプロ世界王者、1995年に王座に就いた竹原慎二以来2人目となる世界ミドル級王者となった。

 予告通り圧倒して完全決着をつけた。7回終了、ダメージ深いエンダムがギブアップ。TKO勝ちで、村田が日本人として2人目の世界ミドル級王座のベルトを巻いた。村田は両拳を突き上げ「ありがとう!」と叫び、男泣きに泣いた。

 試合直前、控室で本田明彦会長から「相手をのんでいけ!お前の方が上だ」と送り出された。1ラウンド開始から歩いて前に出てプレスをかけ、ジャブ、左右のボディーを積極的に打ち込んだ。エンダムは接近してクリンチを繰り返した。「びびっていた。警戒していると感じた。余裕がなかった」と完全にペースを握った。

 「ガードを固め、プレスをかけて、思い切り殴る」というスタイル全開だ。王者のパンチは「ブロッキングが通用する」と見切り、攻撃に拍車がかかった。回を追うごとにエンダムを削っていた。

 4回からはワンツーが決まりだした。6回終盤は、右ショートを打ち抜きぐらつかせた。「3、4回くらいからギブアップするんじゃないか、と感じていた。そう予想はしても、諦めない選手。相手陣営がそういう動きを見せたときはうれしかった」と喜びを表した。

 万感の思いで手にした世界王座のベルトをを一番に見せたいのは、長男の晴道くんだという。「先日、高校(南京都高)の集まりがあって、(前WBA世界スーパーバンタム級王者の)久保(隼)の世界ベルトを見た長男から『これ、何?』と聞かれて困った」と打ち明けた。

 前回対戦が国内外で“疑惑の判定”と呼ばれたのは、村田の勝ちと見た人が大半だったからだ。そして実現した再戦だけに戦前は「村田有利」の声が圧倒的。計り知れない重圧をはねのけ「プレッシャーの上で結果を出せて、少しは自分をほめてあげたい」と表情をほころばせた。

 リングサイドで村田の強さを見届けた米国の大物プロモーター、ボブ・アラム氏(85)は「素晴らしいパフォーマンスだった」と絶賛。本田会長は「初防衛戦は来春、日本でやります。それに勝てば、2度目の防衛戦はアメリカでやる。(3団体統一王者の)ゴロフキンクラスとやるために、独自の力でどれだけ上がっていけるか」と期待した。村田の新たなステージが始まる。

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