【長谷川穂積の拳心論】20ラウンド目に相手の心を折った村田に覚悟感じた

 「ボクシング・WBA世界ミドル級タイトルマッチ」(22日、両国国技館)

 ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストの村田諒太(31)=帝拳=が22日、東京・両国国技館で行われたWBA世界ミドル級タイトルマッチで、王者アッサン・エンダム(33)=フランス=に7回終了TKO勝ちし、新王者に輝いた。

  ◇  ◇

 【長谷川穂積の拳心論】

 村田君が涙を見せたのは、王者以上の重圧がかかっていたからだろう。前回も覚悟を感じたが、今回はそれ以上の覚悟を感じた。

 前戦からトータル20ラウンド目を前にしての決着となった。一度対戦した相手に勝つには、前回から何をプラスしてきたかが問われる。村田君は大きく攻撃を変えられるタイプではないが、右ストレートからつなぎの攻撃を増やしてきた。

 エンダムもまた接近戦やコンビネーションをプラスしてきた。しかし、クリンチはふりほどかれ、接近してもダメ、足を使ってもダメ。20ラウンド目を迎えて、もう勝てないとギブアップした。

 相手の心を折った村田君の“根性勝ち”。これはこの試合の意味を考えれば最高の結果だ。判定ではきわどいと言われることもあるし、KOには“交通事故”のようなものもある。でも、はっきりと相手が「やりません」と言ったのだから誰もが納得できる。

 2人の若い王者も個性が感じられた。初防衛戦の重圧の中でKO勝ちした比嘉君は、ガードが堅く最も倒しにくい相手を倒しただけに価値がある。劣勢から逆転勝ちした拳四朗君は、最初の公開採点で負けているのを知って腹をくくった気持ちの強さがすばらしかった。

 ボクシングは拳闘でありスポーツだ。拳四朗君はキャラクターを含めてボクシングを“スポーツ”として体現している。ハングリーな比嘉君にとっては“拳闘”だ。そのどちらも兼ね備えているのが、村田君かもしれない。(元世界3階級制覇王者)

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