田中恒成 苦し勝った いきなりダウン…逆転TKOでV2…試合後は病院搬送

 9回、パランポン(左)にダメ押しのパンチをたたき込む田中恒成
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 「ボクシング・WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ」(13日、エディオンアリーナ大阪)

 WBO世界ライトフライ級王者の田中恒成(22)=畑中=が同級13位パランポン・CPフレッシュマート(タイ)を9回TKOで退け、2度目の防衛に成功。WBA同級王者・田口良一(30)=ワタナベ=との統一戦実現へ大きく前進した。ただ田中は試合後、控室で「頭が痛い」と訴え、精密検査のため救急車で大阪市内の病院に搬送された。

 壮絶な打ち合いを制し、2度目の防衛に成功した田中が統一戦実現をたぐり寄せた。ただ、節目の10戦目は波乱の幕開けだった。

 初回に挑戦者の右カウンターを食らって尻もち。自身2度目のダウンに会場は一瞬、静まり返った。左目は腫れ上がり、4回にはヒッティングで右まぶたも裂かれた。窮地の王者は中盤以降ようやく反撃。8回に右フックから返しの左で挑戦者をぐらつかせると、9回には右ストレートでダウンを奪い返し、直後に連打を浴びせ試合を終わらせた。

 「大事なところでこういう試合をして、ちょっと自分にガッカリした」。逆転TKOにも、田中はリング上でうなだれた。控室では「頭が痛い」と訴え、精密検査のため救急車で大阪市内の病院に搬送された。関係者によると、意識ははっきりしており自力歩行も可能だが、大事を取っての処置だという。車椅子に乗せられた王者の大きく腫れた両目が、死闘を物語っていた。

 国内最速5戦目で世界王者となり、8戦目での2階級制覇は“モンスター”井上尚弥と並ぶ国内最速タイ。だが、輝かしい実績に知名度が追い付かなかった。今回初の全国中継で華々しく“全国デビュー”を飾るつもりだったが「残念な全国デビューになってしまった」とうなだれた。

 それでもWBA王者・田口との統一戦に前進したことには変わりない。田中は「こういう試合をしているようじゃ…なんて言いません。やります」と会場の笑いを誘い、力強く宣言した。日本人同士の他団体王座統一戦は12年6月に行われたWBCミニマム級王者・井岡一翔(井岡)とWBA同級王者・八重樫東(大橋)の対戦以来、史上2度目という歴史的な一戦となる。

 朝食にシリアルやヨーグルトを食べ、夜もブロッコリーやニンジンなど野菜を積極的に摂取した。夕食後のアイスクリームもやめるなど食生活を改善。「当たり前過ぎて恥ずかしい」と照れるが「この試合に懸けている」と真摯にボクシングと向き合ってきた。成果を体現することはかなわなかったが、浪速の夜に積もった鬱憤(うっぷん)は師走の統一戦で晴らす。

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