苦情で「除夜の鐘」を昼につくのは賛成 伝統のつなぎ方

 年末の日本の風物詩に異変が起きている。大みそかに当たり前のように行われている「除夜の鐘」が騒音になると近隣住民からクレームが入り、中止に追い込まれる寺院が。同じく年末年始の恒例行事である「餅つき」もノロウイルスなどの流行による衛生面の観点から中止される動きが広がっている。日本の伝統文化と、今後、どう向き合っていくのか。ハイヒール・リンゴが語る。

 ◇  ◇

 私もどちらかといえば、そうした伝統的な文化は日本の風物詩として残していく方がいいなあと思ってたんですよ。それが、静岡県牧之原市の大沢(だいたく)寺の住職さんの提言された「除夕(じょせき)の鐘」の話を知って、考え方が変わりました。

 このお寺は、近隣住民から苦情を受けて、いったんは「除夜の鐘」を中止されたんですが、その後、深夜ではなく昼間に時間を変えて鳴らすということで復活させたそうです。明るいうちに鐘を鳴らすことで、足下がよく見えるようになったお年寄りも訪ねるようになり、早い時間に行うことで子供たちも来てくれるようになったそうです。結果として多くの人が楽しむようになったとか。行事そのものをやめてしまうのではなく、すごい前向きな選択やと思ったんですよ。

 私たちだって、若いころは親の世代の伝統みたいなものを壊してきたのに、自分のときになったら、まるで掌を返すように、「昔からあるものはそのまま残さないといけない」なんて言うのはおかしい。

 もちろん、そのままの形で残していかなければいけない文化もあるとは思うんですが、時代に即して変わっていくことはしようがないこと。「またひとつ昭和の文化がなくなった」と考えるのではなく、むしろ「平成の新しい文化が生まれた」と考える方がいい。

 同じく騒音の問題から、「盆踊り」で音楽を流さない「無音盆踊り」を行っているところもあるそうです。参加者は耳にイヤホンをつけて、そこから流れてくる音楽に合わせて踊るそう。お囃子の太鼓もエア太鼓ですって。音がない中で、イヤホンしながら盆踊りしているなんて、ちょっと見てみたい気がしますよね。

 イヤホンで盆踊りなんてちょっと変な感じがするかもしれないけど、イヤホンをつける文化なんて、今では美術館へ行ったら普通ですし、歌舞伎を見るときだって同じようにイヤホンガイドを使ったりしますよね。だったら、盆踊りでは受け入れられないというのはどうかな、と思いますよ。

 もっとも、私は河内家菊水丸一門なので、これが当たり前になってしまうと、営業妨害になるかも(笑)。ちなみに私は小泉今日子さんの次の弟子で「河内家化粧濃い丸」という芸名も頂いてます。

 だから「なくしたらあかん」と、頑なになるのはどうなのかなって思う。なくなってしまうのではく、新しい何かが生まれると考えを変えた方がいいんじゃないでしょうか。「除夕の鐘」とは、なんていい響きでしょう。やはりお寺の住職さんはええこと言うなあ、と思いますね。

 「餅つき」だってそう。昔だったら、食あたりという一言で済まされていたけど、今はノロウイルスだとかO157とか、原因が細かく分かるようになった時代。だから、餅つきはするけど、ついたお餅はその場では食べず過熱してから食べるとか、食べるお餅は餅つき機などで作ったものを提供するなんていう、アイデアはすごくいいと思います。

 「餅つき」という文化をなくすのではなく新しいものとして残していく。悲しいことととらえるのではなく、前向きに考えていけばいいんじゃないかと思うんですよね。

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