「極楽とんぼ」の山本圭壱が１０年ぶりによしもとクリエイティブ・エージェンシー所属タレントとして復帰した。ハイヒール・リンゴは、コンビとして復活できた裏に加藤浩次が「コンビの名前を守ってきたから」と、その頑張りを称えた。自身も含め「ものすごく不思議な特殊な関係」というコンビ仲について語った。

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　以前、「極楽とんぼ」の２人がやっていた番組に出させてもらったんですよ。山本君は先輩にすごく気配り、気遣いするんですよ。礼儀正しいし、後輩の面倒見もいいって聞いてる。この１０年は彼にとってすごく長かったと思う。いまこうして山本君が帰ってくることができたのは、加藤君がずっと「極楽とんぼ」のコンビ名を守っていたからですよね。

　でもコンビを組んだ者にとって、その名前ってすごく大切。１９９６年にミヤコちゃんが亡くなったけど、シルクちゃんがずっと「非常階段」の名前を守っていたし。コンビの気持ちって、本当にコンビにしかわからない。なんていうのかな、特別なのよ。夫婦でもなく、親子でもなく。友達でもないし、ライバルでもないし、一緒に仕事しても「仕事仲間」って感じでもないし。ものすごく不思議で特殊な関係。

ダウンタウンの２人も普段は一緒にいないけど、浜田君が「松本より先に死にたい」って。インタビューとかで相方の話をしたり、弔辞読んだりするのは絶対嫌やから、先に死にたいって。浜田君の言っていることが、すごくわかりますね。

　だけどコンビとはいえ、一人ひとり別の人間じゃないですか。でも「コンビ」でひとくくりされるんですよ。一方が結婚したら、もう片方にインタビューに行ったりしますよね。ナインティナインの矢部君のところに子供ができたら、岡村君に「どうすんの？」って聞いたり。全然比較されるものではないんですよね。でも周りは比較したくなるみたいですね。

　ピースの綾部君はものすごく稀有な例ですよ。又吉君が賞を取ったら、それを逆手にとって相方を「先生」と呼ぶ。芥川賞作家の相方というものすごいポジションを得て、上手に自分の身の置き所見つけた。「俺、本書けへんし」とか「俺の前で又吉の話やめてくれよ」とか言ってもおかしくない状況だったにもかかわらず、綾部君はちゃんと身を処した。これって凄いセンスだと思います、コンビってそうした距離感がすごい微妙なんですよ。

　加藤君もこの１０年、サインはすべて「極楽とんぼ・加藤」と書いてたって、やはりそこなんですね。加藤君には「自分はずっと極楽とんぼ」いう認識があった。今回、ロンドンブーツ１号２号の田村淳君など後輩芸人が「山本軍団」として復帰を支えた人たちとして名前上がっていたけど、やっぱり一番は加藤君ですよ。だからスゴイよかったなと。ほんとしつこいようですが、コンビ間にはコンビにしかわからない思いがありますから。

　ただそれを他人に分かって欲しいというのはすごい微妙。コンビを組んだ年数が長ければ長いほど、二人にしかわからないことが増えて来る。ハイヒールもコンビ結成して３０年を超えました。いろいろありました。私が不妊治療してるときに、モモコに３人目の子どもができた。そのとき手紙をもらったんですよ。だから私も手紙で返した。普通に楽屋とかで話をしてるんですよ。でも敢えての手紙。「リンゴがすごく子供欲しがっているのに、私が先にできて…うれしい反面、複雑や」って内容の手紙。私は手紙でくれたことがうれしかった。そうした内容を、面と向かって言われてもどうしていいかわからなかったから、手紙をしたためてくれたことで、同じようにきちんと自分の気持ちを手紙で返せた。「私も頑張ってくるから、先に産んで来て」と。結局、叶いませんでしたが、そのとき手紙をくれたモモコの気持ちはうれしかった。手紙じゃなく、口で言えばいいと人は思うやろうけど、そこは手紙だったんですよ。

　だからある先輩がモモコに「なんやお前、３人も生んで。相方一人もできへんのに。一人ぐらいやれや」と言ったそうなんです。その言葉に彼女は凄くショックを受けていた。そこは比較されることじゃないでしょ？でも人から見たらコンビってそういうもんなんですね。リンゴ、モモコという個人じゃなく「ハイヒール」というくくり。そのコンビという単位で子ども何人いるみたいな。そうじゃないんですけどね。だからコンビって微妙だし、特に他人同士のコンビはそれが顕著なんです。

　今回の山本君の復帰で、加藤君が動いたっていわれてますけど、絶対そうだろうなって思いますよ。そうじゃないと１０年間「極楽とんぼ」って書いてないから。「いつかはまた一緒に」という思いがないとやってない。加藤君が山本君のこと「１０年休んでたから俺のこと兄さんと呼べ」というのは、コンビあるあるやなって思います。個人がクローズアップされるけど、コンビ愛ってあるよねって…最近ではいい話だと思いました。