【谷光利昭医師】生理痛の対処法はさまざま 経口避妊薬も有効

 【Q】生理痛がひどく旅行と重なるので不安です。(30代女性)

 【A】生理痛の原因として、機能性月経困難症と器質性月経困難症があります。簡単にいうと、病気がないのに月経困難がある人を機能性月経困難症といい、子宮内膜症などの病気があって、月経困難がある人を器質性月経困難症といいます。

 機能性-は、10代~20代前半の女性に多く、痛み止めや子宮の収縮を抑える薬や漢方薬などを投与して経過観察します。器質性-の原因としては、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などがあります。まずは、原疾患の治療が優先されます。その後に、機能性-と同様の治療を行います。

 治療には、低用量経口避妊薬も含まれます。これは非常に有効な治療法ですが、内服にあたり注意を要する患者さんがいます。可能性としては、脳卒中、心筋梗塞、狭心症、5年以上の内服で子宮頸がんのリスクが上昇、静脈血栓症のリスクの上昇などが挙げられますので、必ず専門の医師により適切な処方をしてもらうことが大切です。

 その一方、この薬を服用することにより、乳腺繊維腺腫の発生率の低下、子宮体癌の発生率の低下、卵巣癌の発生率の低下という“利点”もあります。

 経口避妊薬には様々な種類があります。月に一度必ず月経を起こすタイプと、月経自体を起こさないようにするタイプです。後者の薬は、2017年4月17日に発売された新薬ですが、成分自体は以前からあったものと同じなのです。内服方法を変えることにより、月経自体を飛ばしてしまう薬です。

 従来あった月に一度必ず月経を来す薬と違い、月経自体をなくしてしまうので、子宮内膜症などでつらい痛みを抱えてる患者さんには朗報です。ただ、避妊目的で内服している人が飲み忘れなどで妊娠した場合、妊娠に気が付かないケースがあるので要注意です。

 従来の薬でも飲み方を工夫すれば、生理の時期を意図的にずらすこともできますので、詳細は婦人科で相談してもらえれば解決できると思います。

 ◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。

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