ファンならずとも応援したくなる宇良の鬼気迫る相撲
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物言い!客席から異議を唱える声が飛ぶ。連日、スリリングな相撲を見せている力士がいる。奇手・居反りで知られる十両の宇良(24)=木瀬=だ。
大相撲九州場所(福岡国際センター)の11日目、大栄翔との一番。低い姿勢で頭を付け土俵際に追い詰めたものの、あと一歩のところではたき込みで敗れた。
一回転して土俵下に尻もちをついた。「物言い!、物言い!」と次々と声が飛んだが、勝負審判の腰は上がらなかった。2場所ぶりの勝ち越しがかかった一番だけに、悔しさをにじませながら支度部屋へ引き揚げた。
日増しに分厚くなる左手首のテーピング。秋場所で骨折し、手術を受けている。前日の琴恵光との一番でも、きわどい相撲を見せ、土俵下へ落ちた際、左手を押さえながら顔をゆがめた。
十両取組の中でファンの声援がひときわ大きい。痛みに耐えながら、負けても見せ場をつくる姿は、鬼気迫るものがある。ファンならずとも、応援したくなる力士の一人だ。(写真と文=デイリースポーツ・開出牧)