【野球】プロ野球「現役ドラフト」は実現するのか その課題とは…

 「現役ドラフト」の導入が日本野球機構(NPB)や12球団、日本プロ野球選手会などの間で協議、検討されている。選手会の要望で出場機会が少ない、もしくは恵まれない選手を救済するための制度だ。米大リーグの40人枠に入っていない選手を獲得できる「ルール5ドラフト」と同じような制度設計になるだろう。

 選手会の炭谷選手会長(巨人は)「来シーズンから行いたいと思っているので」と話すが、実現に向けた課題は多い。毎年開催するのか、2年に1回などの隔年にするのか。開催の時期もシーズン中やシーズンオフなどのプランがあり12球団はもちろん、選手会側でも“温度差”があって、さまざまな意見が出ているという。「実際やるとなると難しい」と関係者が声をそろえる通り、簡単に導入できる制度ではないようだ。

 選手の“心情的”な問題も無視はできない。現役ドラフト実施の場合は、他球団が指名できる対象の選手をリストアップすることが必要になってくる。対象になったものの指名されなかった場合、その選手の心中は複雑だろう。仮に7月や8月のレギュラーシーズン中に開催した場合、指名の対象選手に対する早い時期の“戦力外通告”のような形になってしまう可能性も否定はできない。

 現在、所属している球団で働き場所がない選手でも他球団に移籍し、環境が変われば、例えばレギュラーポジションをつかみ、大成する可能性もある。現役ドラフトで指名されたことをきっかけに道が開けるケースも十分あり得ると見る。球界関係者も「12球団でいろんな選手が活躍できるような制度設計をしたい」と言う。それはNPBや12球団、選手会ともに同じ思いだろう。そのためには開催する年、時期、対象選手など課題をクリアし、着地点を模索する必要がある。

 日本球界にとって画期的なシステムが、実現するかどうかに注目している。(デイリースポーツ・伊藤玄門)

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