【野球】かませ犬発言から3年…オリックス・イケメン外野手の真意

 オリックスは22日・ロッテ戦の九回2死から逆転サヨナラ勝ち。同点打を放った後藤駿太外野手とサヨナラ打を放った小田裕也外野手が抱き合って喜ぶ姿が印象的だった。小田は「プロに入ったときから切磋琢磨(せっさたくま)した仲。目が合って抱き合っちゃいました」と笑った。

 2人のお立ち台を見て思い出した。まだ神戸に青濤館があったころだ。2016年12月に小田とゆっくり話したことがあった。

 この年は駿太と小田はセンターのレギュラー候補としてスタートした。ところが、2人はともに打撃不振。小田は打率・137、0本、3打点。駿太は打率・192、1本塁打、9打点に終わった。来季こそはの思いを聞いた。ところが-。

 「レギュラーにならなくてもいいです。球団もドラフト1位で獲ったわけですから駿太にレギュラーを獲ってほしいと思っているでしょう。僕はかませ犬でいいです。そりゃあ試合に出たいですよ。でも出られなくてもいい。駿太と競ってお互いにレベルアップできればチームにとってもいいでしょう」

 14年のドラフトで8位入団した小田。これまでプロ野球選手と話していて、レギュラーにならなくてもいいと口に出す選手には会ったことがなかった。それだけに“かませ犬発言”は3年たった今でも鮮明に覚えている。

 やる気がないとか欲がないというわけではない。その証拠に2年後の昨季は自己最多の90試合に出場。西村徳文監督は昨年の就任時に守備力を高く評価。右翼のレギュラー候補として期待した。年を経るごとに着実に力を付けている。

 取材のたびに触れていくと分かってきた。昨季は打撃好調で定位置をつかんだかに見えたが6月に守備で左手を骨折。早期復帰を期待する声に「ファンの人も首脳陣も僕への期待度が大きすぎます。そんな選手じゃない」と戸惑いの表情を浮かべた。

 今季も4月に足を痛めて抹消された。このときも1軍復帰を期待されると「早く戻りたいですけど、僕が戻っても変わらないですよ。期待し過ぎです」と首を振った。

 入団時には“イケメン過ぎるプロ野球選手”と話題になったハンサム。男前だからといってもどこにも嫌みなところはない。その内面は謙虚で控えめな男だ。

 左足の故障から復帰して3試合目にして放った劇打。最下位に沈むチームからは救世主の期待も大きい。

 「僕なんか無理ですよ」

 イケメンは苦笑いで大役を遠慮した。そのらしすぎる返事が逆に頼もしく見えた。(デイリースポーツ・達野淳司)

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