【野球】早実・清宮の誤ったイメージ「鈍足&守れない」選手ではない

 史上最多とされる高校通算111本塁打を誇る早実・清宮幸太郎内野手(3年)が22日、プロ志望届を提出することを表明した。阪神は早速1位指名を明言。目玉候補の意志が固まったことで、ドラフト戦線は一気に動き出した。

 清宮の打棒については、いまさら説明する必要はないだろう。高校生スラッガーとしては10年、20年に1人の逸材。天性の飛距離は広く知られている。

 一方で、誤ったイメージを抱いているファンも多いと感じる部分がある。一番は「打撃はすごいけど、足が遅いでしょ」という声だ。実際、記者は野球好きの友人にもそう言われて「ああ、やっぱりまだ本当の姿を知られていないんだ」と思ったことがあった。結論から言うと、清宮は「鈍足」ではない。むしろ、どちらかといえば速い部類に入る。

 野球選手の足のバロメーターとしてよく用いられるものに「一塁到達タイム」というものがある。実際に打席でバットを振った瞬間から、走りだして一塁を踏むまでの時間を計ったもの。もちろん、一塁に近い左打者は右打者より速くなるが、合格ラインは4秒3以内とされている。3秒台に突入すれば、プロレベルでも俊足を売りにできる韋駄天(いだてん)になる。

 今夏の西東京大会。あるスカウトに、清宮が計測したタイムを聞いて驚いた。4秒15。しかも当てにいった打撃ではなく、しっかりとバットを振り切った二ゴロを放った際に出た数字だという。他のスカウトは「4秒11の打席もあった」と話していた。これは「足で勝負!!」というタイプでなければ、ドラフト候補の野手の中でもなかな優秀な数値。大砲タイプの選手なら、十分な脚力といって差し支えないだろう。

 守備についても同様だ。なぜか清宮に関しては「守りが不安」というネガティブな意見を目にすることが多い。確かに失策や捕れそうな打球がヒットになることはあるが、それも注目を浴びる機会が多い分だけ、目立っているように感じてならない。守備を売りにする二遊間の選手はともかく、他のドラフト候補に見劣りする感はない。

 清宮を担当する日本ハム・岩舘学スカウトは「足は遅くない。しっかり走れば、内野ゴロを打った時に、内野手にプレッシャーをかけられるレベル。走り方も悪くない」と話す。また「一塁守備も柔らかい」とグラブさばきを褒め「もちろん、高校生だから課題はあるけど『足が遅い』、『守れない』という選手ではない」とちまたで言われるような声を否定した。

 早実の試合を頻繁に観戦できる東京近郊の高校野球ファンなら、清宮が「普通に走れるし、守れる選手」であることを前から認識している方も多いと思う。別のスカウトは、足と守備をマイナス面に挙げた解説をしたプロ野球OBに対し「言うのなら、しっかり試合を見てから言わないとダメだよ」と憤っていた。

 184センチ、101キロの巨体に加え、丸っこい童顔。「動ける」というイメージは、確かに定着しづらいのかもしれない。しかし、実際は意外に機敏なのが怪物スラッガー・清宮。高校入学から2年半、取材を重ねてきた者として、ありのままの姿が早く多くの人に認知されることを願う。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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