【野球】“和製リベラ”阪神・桑原、10年目の進化の秘密

 “和製リベラ”が、金本阪神2年目の主役となるか-。開幕から好調な阪神を支えているのは、プロ10年目・桑原謙太朗投手(31)だ。中継ぎとして、チーム2位タイの17試合に登板し2勝0敗、防御率1・08(5月11日現在)。昨季は1軍戦のマウンドに一度も上がっていない右腕が、進化を遂げた理由に迫る。

 スリークオーターから繰り出す最速152キロの直球と、キレ味抜群の高速スライダー。2つの大きな武器が、セ界の強打者を圧倒できる大きな要因だろう。今回、記者はその投球を支える下半身に焦点を当てた。“鉄人化”を目指したオフの過ごし方に、飛躍へのヒントが隠されていた。

 昨年12月、極寒の鳴尾浜に桑原の姿はあった。プロ1、2年目の「強化指定選手」と同じように、2軍施設で汗を流す日々。「若い選手がやっていたので、僕も入らせてもらおうと思いまして」。中でも、ウエート室にこもる時間は長かった。

 スクワットの数値目標を達成するため、若虎たちは150キロ以上のバーベルを担ぐ。31歳の桑原には“強制”されていなかったが、自主的に動いた。「自分のできることをやろうと思いました」と少し重りを軽くしながら、下半身を鍛える。さらに、シーズン中も継続して行っているという。

 中継ぎ陣のほとんどは、翌日が休日となる日曜日が「筋トレ日」。そんな中、桑原は登板が控える平日も関係なく、週2~3回のペースでバーベルを持ち上げる。体重84キロを維持できているのは、努力のたまものだろう。権田トレーナーは「若い選手も背中を見ていると思う。『こういうやり方もあるんだ』と、新しい方法を示してくれている」と意識の高さに太鼓判を押す。

 金本流の筋力トレーニングで体作りに励む若虎と同じように、肉体強化にも重点を置いている右腕。香田投手コーチは「コントロールが安定した」と活躍の最大の要因を挙げる。2軍投手コーチを務めていた2年前も「直球に力はあるし、“お化け”みたいに曲がるスライダーもすごかった」と光るものはあったが…。ウエートによって下半身が安定し、制球力が向上したことが桑原を変えた。

 香田コーチは「今は狙ったところにしっかりと投げきれている。球数も少ないしね。努力はウソをつかないということ。頼りになりますね」と絶大な信頼を置いている。

 金本監督はその背中を、メジャー最多の通算652セーブを誇る元ヤンキースのマリアノ・リベラと重ねる。横浜、オリックスと渡り歩き今年でプロ10年目。ひたむきに歩んできた野球人生は今、躍進するタイガースと共に花開こうとしている。(デイリースポーツ・中野雄太)

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