【野球】広島の連覇なるか 大型補強VS団結力 他球団も黙っていない

 南国の穏やかな風に揺られながら、つぶやいた一言が耳に残る。

 「なんか、いいですよね」-。

 選手会長として昨年1年、チームの中核を担った小窪が言った。優勝旅行先のハワイでの一コマだ。5泊7日。25年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた男たちは、思い思いに1年に2チームだけが得られる栄誉を満喫した。「カープの良さは団結力よ」。新井が言う。それは同時に、強さの裏側を感じた7日間でもあった。

 ハワイに到着した初日の夜。球団主催のレセプションパーティーが開催された。エルドレッド、ジョンソン、ジャクソン、ヘーゲンズと、4人の外国人選手も優勝旅行に帯同。変わらぬ日常であるかのように、酒を飲み交わし、笑い合っていた。会の最後には続々と選手がプールに飛び込んでいく。自然と「孝市コール」がわき起こる中、緒方監督も息子を抱えてプールへ。それにコーチ陣も続き、最後まで笑いありの和やかな雰囲気だった。

 リーグ連覇、そして33年ぶりの日本一を狙う1年。誰もが「厳しい戦いになるだろう」と口をそろえた。打倒・広島-を胸に他球団のマーク、攻めなどはより厳しくなる。巨人などは大型補強を敢行。対抗策は何か。昨季限りで引退した黒田博樹氏(41)は、それでも「カープは他球団に負けないチーム」と言う。広島に戻った2年で黄金期の伝統を系譜し、成長した若手の姿に自信を見せる。

 チーム最年長となる新井貴浩内野手(39)は言う。「俺たちは挑戦者なんだと、120%の気持ちで戦う。もう一度、優勝したい。日本一になりたい」。野球は心技体のスポーツと言い、昨季は「心が体を動かす」と、ファンの大声援を背に2000安打や、セ最年長MVPを獲得するなど活躍した。黒田の穴は「1人では埋められない」。それでもその穴が広島ナインにとって、さらなる団結力を生む可能性が高い。

 過去、資金力や知名度では他球団に及ばなかった。それでも2人が「中央に負けるか。東京に負けるか」と、反骨心で20年近く戦ってきたように、「カープに戻ってきてよかった」とチーム愛を語ったように、他球団にはない“何か”が存在するのも確かだ。そのチーム愛と団結力に加えて、投打のキーマンになるのが福井優也投手(28)と、堂林翔太内野手(25)。2人も相当な覚悟で今季に向けた準備を進めている。

 「大型補強」VS「団結力」。昨季4位の阪神や、3位のDeNAも黙ってはいないだろう。2017年のセ・リーグを制するのはどの球団か。1979年、80年以来のリーグ連覇なるか。開幕までもう3カ月を切っている。(デイリースポーツ・田中政行)

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