【競馬】2歳戦にみる競馬の妙味 小倉2歳SVのレーヌミノル

 馬肥ゆる秋。ダービー馬マカヒキの凱旋門賞参戦や、春競馬を盛り上げた実力馬が続々と前哨戦で始動する。その一方で競馬ファンの注目を集めているのが、6月から始まった新馬戦である。

 誰もが知る人気馬の妹弟など、折り紙付きの良血馬やディープインパクト産駒、そしてセレクトセールでの高額取引馬がデビュー前から注目を集め、レースでも単勝人気を集めている。記者1年目の私は、この時期の新馬戦に出走する各馬の取材は初めてのことだ。デビューを控え、調教師や陣営に取材を行い、印象に残ったことがある。それは多くの調教師が口をそろえて「新馬だから走ってみないとわからない」という言葉である。

 精神的に幼い面を残しながら、輸送なども乗り越えてレース当日に臨む中で、ささいなことが馬の心理に影響するということだろう。1頭を例に取りたい。今年の小倉2歳Sを鮮やかに勝利したレーヌミノルだ。

 デビュー戦は、好位に取りつき3番手を奪うと、余裕を残してVを決めた。「しまいで差す感じをイメージしていました。うれしい誤算でしたね。うまいレースでした」と中井助手はレース巧者ぶりに目を細めていた。そして、初の重賞を控え、同助手はこう話した。「のんびりしているし、牝馬のカリカリした感じはないですね。精神面がしっかりしていることは、他の馬より武器になりますね」。

 レースは言わずもがなの圧勝劇だった。レースを見てふと中井助手の言葉が脳裏に浮かび、精神面の落ち着きがいかにレースに影響をもたらすか、記者は痛感した。

 18日に行われた阪神の新馬戦で1番人気だったザウォルドルフは14年のセレクトセールで、1億4000万円(税抜き)で取引され、11日の阪神5Rで単勝1倍台の人気を集めたスワーヴリチャードも、同年のセレクトセールで1億5500万円(税抜き)で取引された期待の新馬であったが、ともに初陣でのVはならなかった。

 2歳馬のレース予想は難しい。そのような注目ホースが必ずしも勝つとは限らないのも理由の一つである。しかし、新馬や2歳戦が競馬ファンの心をつかんでいるのはそういった点であり、それがまた、競馬の妙味なのかもしれない。(デイリースポーツ・向亮祐)

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