【ライフ】猛暑日に飛騨の名湯・下呂温泉につかってみた

 最近の温泉はどうなっているのか。客が減って大手旅館が倒産。再開発でチェーングループが買い取って再出発となるなんてこともニュースで聞く。実際、記者も早期予約していたホテルが2度、宿泊不可となって泣く泣く他に振り替えたという憂き目に遭った。そんな苦い思いをよそに、下呂温泉を訪ねた。

   ◇   ◇

 江戸時代の儒学者である林羅山が、有馬、草津と並び、日本三名泉に数えたことで知られる岐阜県の下呂温泉は、宿泊施設約60軒を数える全国的にも有名な温泉地だ。JR下呂駅からすぐで、アユ釣りで有名な益田川(飛騨川)の両岸に宿が集まる。お湯のヌルヌル感は相当なもので、pHは9・5と強アルカリ性。

 そんな益田川右岸の下呂大橋近くの河川敷にたたずむ噴泉池は、昔からほぼ変わらぬ状態の混浴露天風呂。最初に訪れたのが入社間もない約20年前で、会社の仲間3人とで真っ昼間から裸になって入ったものだが、今は水着着用が義務づけられている。

 この日は岐阜県内で気温39・7度を記録するなどした前日で、それに負けず劣らず暑い日。先に千葉から来ていたご夫婦が足湯を楽しんでいたが、「熱い湯で50度くらいありそうだから、誰も入れないね」と言っていたところで私が入ったのだからビックリしたそうだ。実際、足がピリピリするほど熱く、2、3分肩まで浸かるのがやっと。足湯を試そうとしていた仲間も、風呂周りの敷石まで熱くて、服を着ていても、腰をじかに地面に下ろすとやけどしそうで長時間出来ない状態だと言った。

 湯船から出ると体は赤く染まり、ゆでだこ状態に。数分後、東の山からしぐれて、大粒のにわか雨が降った。屋根がないので慌ててカメラを持って下呂大橋の下に避難。野趣満点で囲みも何もないのがいいところではあるが…。

 風呂から上がって郷土料理を調べると、「飛騨牛トマト丼」が目に留まった。飛騨牛の肉汁と、高原トマトの酸味が絶妙にコラボし、食感も楽しめるという。残念ながら時間が外れて開いている店がなかったので、次回に食べることにした。

 観光客の動向を見ると、平成26年から27年にかけ、台湾、中国、韓国、香港、東南アジアからの宿泊客が約2倍に伸びている。爆買いツアーの影響なのかもしれない。特に台湾からは同25年1万907人、26年1万3264人、27年2万2788人(下呂温泉観光協会調べ)で、1万人近い増加も。また同協会によると、台湾語と香港語のパンフレットがよく出ているそうだ。

 毎年8月1~3日は下呂温泉まつりで今年70周年を迎えた。特に3日は花火ミュージカルと銘打ったビッグイベントで、昨年音楽に合わせて夜空を焦がす約1万3000発の花火に酔いしれたものだ。

 名湯に名物を併せ持つ下呂温泉。散策を楽しむのにもちょうどいい。日常から離れてちょっと足を延ばし、大浴場で足を伸ばしてみては?(デイリースポーツ・柴田直記)

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