【芸能】石原プロ新人3人 新しい風

 4月25日に行われた石原プロによる16年ぶりのオーディションで3人の新人が“軍団入り”してから1カ月が過ぎた。うち2人が米国在住とあって、現在は日本での生活準備を進めている。7月から演技や殺陣などのプログラムを組み、約1年かけて英才教育を施していく計画だ。グランプリに輝いた米ロサンゼルス在住の学生、神田穣(20)を筆頭にした新星たちは、硬派なイメージの強い事務所にどんな風を吹き込むのだろう-。

 石原プロのオーディションは、2000年の「新人発掘オーディション~21世紀の石原裕次郎を探せ!~」以来。立正大4年生だった当時22歳の俳優・徳重聡(37)がグランプリに選ばれ、同事務所に所属する宮下裕治(41)は石原まき子賞の受賞者、池田努(37)と金児憲史(37)はファイナリストだった。

 オーディションの冠に事務所の創始者で昭和の大スター、石原裕次郎さんの名前があるように“第2の裕次郎”を求め、選考過程ではスクリーン映えすることを重視。長身でスタイルがよく、銀幕でのスケール感が際だった裕次郎さんのように「大画面で見たときの体の存在感」(事務所関係者)が審査された。

 残ったのは身長180センチ以上で足が長く、硬質な雰囲気のイケメンたち。正統派で裕次郎さんや渡哲也(74)、舘ひろし(66)、神田正輝(65)らの系譜を継いだ、まさに石原軍団といった顔ぶれだったが、似た系統の長身イケメンがそろった結果、事務所内で同じ役を食い合うこともあったという。

 今回のオーディションには、あえて裕次郎さんの名前は使用しなかった。題して「次世代スターオーディション」。映画やテレビのみならず作品の視聴形態は多岐にわたり、スマホやタブレットなどで配信されたものを見る層も増えている昨今。既成概念にとらわれず、新たな時代、空気に合ったスターを求めた。

 実際、事務所としても近年は「西部警察」や「大都会」といった自社コンテンツのネット配信を解禁し、時流に合ったエンターテインメントの形を模索している。「テレビの手法でいうと、身長の大きさはスクリーンほどは伝わらない。今回はそこにこだわらず、イメージにとらわれず、バラエティーに富んだ人材を求めた」とは事務所関係者。実際、ファイナリストには童顔の高校1年生や王子様系といった“脱・石原軍団”とでもいった雰囲気のメンバーがおり、目指している方向性がうかがえた。

 グランプリの神田は笑顔の似合う、さわやかなイケメン。中高6年間、立教の野球部に所属し、渡米してアメリカの大学トライアウトまで受けた元球児だ。野球では挫折を経験したが、米ロスで住む地域が日常的に銃声が聞こえるほど治安が悪く、身を守るため格闘技に挑戦。オーディションのため半年で16キロ減量し、細マッチョ体形と体のキレで審査員を魅了した。

 やや天然系の性格だが、いい意味でまとまっておらず、太陽のような屈託のない明るさがまぶしい。審査委員長の石原まき子さんは「笑い方がとても印象に残った」と評価。歌唱審査では下手さも際だったが、審査員のLiLiCoは「オーラは後から付けられない。生まれ持った男らしさがある。歌がすごく下手だったけど、その瞬間、目が合って惚れた」とメロメロだった。

 準グランプリで神田と同じく米ロサンゼルス在住の丞威=じょうい=(21)は、ダンスで全米コンテスト優勝の経験があり、すでに映画出演歴もある即戦力。ダンスで培った表現力は自然と視線を引きつけるものがあり、オーディションにかける思いと情熱を最も真っすぐに言動で表していた存在でもある。

 英語がネーティブで、今回のオーディションと並行して受けていたスティーブン・スピルバーグ監督の新作で「主人公の友人役」として最終審査に残っているという。関係者によると、スピルバーグ監督は「雑草の中から花を見つけた」とゾッコンだといい、国際派俳優としての期待もかかる。

 特別賞の高校生、増本尚(16)は歌唱力が武器。4次審査のハワイ合宿までは決して目立った存在ではなかったが、最終審査での圧倒的な歌声で運命を切り開いた。

 最終審査前、神田正輝は「芯があって、形が決まっていない人がいいんじゃないかな」と口にした。舘も「アクションなんて適当にやればいい。自分のスタイルを持っているのが大事」と荒削りな魅力に期待。筋肉質なスマイル王子と身体能力抜群の表現者、歌うまな高校生…。1万5218人から選ばれた“次世代スター”たちが、どんな風になるのか楽しみにしたい。

 (デイリースポーツ 古宮正崇)

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